第2章 第3話「挿話」
学生の頃に始めたライターの真似事のようなものが全ての始まりであった。大学公認の新聞部に入ってみたものの、やらされる仕事と来たら契約済みのスポンサーの契約更新とそのご機嫌取りばかりであった。
ご機嫌取りとは言ってもたかが大学の部活ごときに大企業のような資金はないので、女子学生を何人か連れて相手先を訪れて一時間かそこら話し込むだけだ。時には飲み会と称した接待に駆り出されることもあったし、女子学生の何人かは相手がちょっとした企業の人間だと言うこともあって必死に接点を作ろうとあれこれ試みてはいた。
そんな下らない連中とつるむばかりで新聞を作るのはいつも上級生ばかりであった。下級生の仕事は新聞からは程遠いものであった。
「新聞作りの極意はな」ある先輩が口にした。「どれだけスポンサーを募れるかなんだよ」
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