第14話 俺達とダンジョンの戦利品
「ふぅー、お腹いっぱい!」
「……よかったな」
五万ハンス分の食事をしたロナと、ごくごく普通に食事をした俺は宿で借りた二人用の部屋に戻ってきた。
ロナは最初に頼んだ巨大サーモン丸ごとや巨大ハンバーガー、ミートパイなどを食べ終わってすぐにおかわりの注文もした。それにも関わらずロナの腹があんまり膨らんでいない。食ったものはどこいったんだろう。トイレ、じゃなくて、花摘みすら行ってないし……。
「それで、大事なお話の前に宝具を調べるんだよね」
「ああ、とりあえず俺の方のベッドに全部並べていこうぜ」
「うん」
左から順に骸骨が持っていた剣と帽子。そして宝箱から出た緑の宝石が埋め込まれた金の指輪とガラス玉、能力の札。全部で五つの宝具を机の上に丁寧に並べた。
あんな短いダンジョンで、俺が既に取得した能力の札を含めて六つの宝具が見つけられたのは、間違いなく『秘宝の羅針盤』のおかげだ。最初にガラクタかと疑ったのを悪く思う。とりあえず俺は剣から順番に鑑定し、効果を見ていくことにした。
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「夜風の剣 ヒューロ」<宝具>
所有者の風属性と光属性の攻撃の威力が特大アップする。また、夜の場合はこの効果が倍にする。
この剣は自然や魔法問わず風を蓄えることができる。蓄えた風は風属性の攻撃の威力を上昇させるか、
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「月夜の羽付き帽 ルナル」<宝具>
この帽子を被っている間、魔力を流して効果を発動できるアイテムを使用した場合、魔力が一度につき『1』しか減らなくなる。
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「操りの指輪 ソーサ」<宝具>
この指輪を装備している者は、念動系や重力系の魔法を覚えていなくとも魔力を消費することで、触れずにモノを動かせるようになる。生物は動かせない。
また、この指輪の効果で操っているアイテムは装備しているのと同じ扱いになる。消費魔力や練度によって持てる重さの限度や効果範囲が変わる。
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「保存玉」<宝具>
このアイテムを割ると、中に入っているアイテムを取り出せる。
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ふむ、この『保存玉』という名前のガラス玉は、宝箱に入りきらない大きさの物を圧縮して収納するためのものだとみた。早速、事情を説明しロナに鉄の剣でこの玉を叩き割ってもらう。
淡い輝きと共に中から出てきたのは、黄色い……弓? 弓なのだろうかこれは。よくわからない見たことのない武器だ。ロナがそっとそれを手に取った。
「これはクロスボウだね。珍しい」
「クロスボウ? 弓に引き金が付いたような形をしているが……また違うのか?」
「うん」
どうやらロナはこれを知っているようだ。やはり、戦闘に長けている竜族の知識ってのはそういうのにあんまり詳しくない俺には助かるものばかり。
「矢を発射するのは同じだよ。でもこのクロスボウはそこの引き金を引くだけで矢を射てるんだ」
「じゃあ普通の弓より強いな?」
「そうでもないよ。連射とか応用とかがしにくいから、私の故郷では使う人はいなかったかな。この街の武器屋さんでも置いてるとこ少なかったし。しかも、この武器だと使えない弓技も存在するらしいんだよ」
なるほど、総合的に見たらやはり、普通の弓の方が強いし人気なのか。となるとこの黄色いクロスボウとやらは売却するしかないかな。まあ、ひとまずどんな力を秘めているかだけは確認しておくか。
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「半月の弓銃 ハムン」<宝具>
この弓銃を装備している者の光属性の攻撃の威力が特大アップする。夜の場合はこの効果が倍になる。
魔力を消費することで、魔力の塊できた矢を生成することができる。光の矢は光属性の攻撃となる。また、生成された矢を消費した場合、すぐに次のものが補填される。
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なるほど、説明通りならこの武器は魔力さえあれば矢の実物がいらないということか。……だが、そういう似たような効果を持つ弓の術技がたしか別に存在していたような気がする。
弓使いで、宝具が手に入れられたり、宝具が必要だと感じるような強さの冒険者ならそんな便利な技は習得済みだろう。だから矢を生み出す効果はこのクロスボウの大きな利点とは言いづらい。
やはり売ってしまうのが一番か。どっちみちロナはこのクロスボウを得物にするつもりはないようだし、光属性の技も今はない。そして弱い俺にはなおさら無意味な代物だ。うん。
となると、あと残るは『能力の札』だけか。これはあの骸骨にトドメをさしたロナが見てみるべきだろう。
「これはとりあえずロナに渡そう。確認してくれ」
「うん、わかった。……あれ、でもこれ能力の札じゃないよ? 術技の札だって。そういうのもあるんだね」
「ほほう」
ロナ曰く、この『術技の札』というモノに入っていたのは<月光風斬>という風属性と光属性が複合された剣技らしい。突きのような動作でそこから一直線上に攻撃を繰り出すそうだ。
ダンジョンの隠し部屋のボスを倒し、パンドラの箱を開けてまで手に入れた技なんだ、強力であることは間違いない。クロスボウが微妙だったことも考えて、流石に二つもハズレが入ってるなんてことはないだろう。
「ま、それは確実にロナが覚えるべきだな。どっちにしろ俺は覚えられないし」
「だね! それじゃあさっそく」
ロナが再び額に『術技の札』を当てると、そこから描かれていた
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