忘れてしまう彼女に、僕は何度も恋をする

舞依

プロローグ

とある大学病院。その206病室。


静かな廊下にバタバタとうるさい足音がしたかと思うと、その戸がバンッと開いた。


その音に驚きこちらを向いたのは、13歳くらいの少女だ。


「理佳っ!」


戸の先にいたのは、少女の母親らしき人物。


肩でゼェゼェと荒い息をしていて、秋だというのに汗びっしょりだ。


「理佳!大丈夫?事故にあったって聞いてすごく心配したのよ…」


少女の母親はその場に泣き崩れた。


しかし理佳と呼ばれた少女は母を慰めるでもなく、大げさだと苦笑するでもなく、首を傾げて言った。


「…誰、ですか」

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