第5話

「あー!優希ー!いつまで寝てたのよー。


心配かけて、、、、


戻って来ないかもしれないって凄い不安だったのよ。」


優希のさも何もなかったかのような元気な姿を見るや否や愚痴を言い出す母であった。


「ごめんなさい、お母さん、元気にしてた??


私がいない家は静かだった??」


揶揄うように話しかける。


「そういう風に聞かれるとなんだかムカつくわね。


まあ、うるさい貴方がいなくて静かではあったわね。」


泣きながら笑う妻子を見て父は満足げな顔であった。


カツッカツッカツ。


足早に近づく音が聞こえた。


コンコンッ。


「あら、誰かしら?先生にもお礼を言わないt」


「すみません、鳳智也さんのご家族でよろしかったですか?」


「はい、そうですが。


智也がどうかされましたか?」


「一家団欒の時間に水を刺して申し訳ありません。


先程病院で智也さんが倒れている所を発見されました。


そのまま病院で休んでいます。現状をご報告したいと思いますので病室までいらして下さい。」


「なんだって?! だから智也はここにきてなかったのか??」


「ねぇ、貴方、大丈夫かしら、私なんだか胸騒ぎがするの。」


不安でいっぱいになった母が弱々しい声で伝える。


「智也なら大丈夫さ!ひとまず病室に行こうか。」


#二人__・__#はかけて行った。





******************



「ねぇ、誰の仕業か分かる?」


「多分だけど幸ちゃんじゃないかしら。あの人も暇なのよ。」


「うーん、貴方がどうにかできないの?」


「嫌よ、めんどくさいもの。


私と長く一緒にいた貴方なら分かるでしょ?」


「分かってるわよ、たまの気まぐれにしてくれないか聞いてみただけだよ。


こっちの世界じゃ私にできることも限られてるから万に一つにかけただけ。」


「安心して大丈夫よ。今回はしーちゃんがコソコソやる必要ないもの。


なるようになるわ。」


「そうだと良いけど。」




*******************


「あら、遅かったわね、優希。何してたの。」


「トイレに行ってたら混んでたの。」


「病院のトイレって混むかしら?」


「まあ、まぁ、私のことなんでどうでも良いでしょ?


お兄ちゃんは大丈夫なの?」


心配そうな顔で聞く。


「単純な過労と緊張からの解放で意識がなくなった可能性が高いみたいよ。


事故や病気、怪我でどうこうの問題じゃないみたい。


心配して損したわ。」


先ほどの深刻そうな顔とはうって変わって安心顔の母であった。


「大事をとって明後日まで入院するらしいから、優希の退院祝いは今日はお預けだな。」


「今日してくれてもよかったのに。


まあしょうがないね。」


出来るだけ早く戻ってきてね、と心の中で優希が呟いた。




************



「さて、それで君に手伝ってもらいたいことなんだけども、死神活動の一部を君にやってもらいたいんだ。」


「どんなことをするんですか?」


「そうだね、基本的には死にたい人、死にかけている人をそこから救って生のエネルギーで満たしてあげるんだ。


大きな生のエネルギーは必ず心の器から漏れ出るようになっている。


それを回収する事で、君から死が遠のいて幸福神をはじめとした沢山の神からの干渉が出来ないようになるってわけさ。


僕は毎日この活動を行なっているからその副次的効果として他の紙にも直接手を下されずに続けられているんだよ。


僕の家系は生のエネルギーと親和性が高くて干渉ができるって先代の父から聞いたよ。」


「なるほど、では僕がこの活動をを通して生のエネルギーをいっぱい溜めれば戻れるってことですね!


分かりました!頑張ります!」


「では、その方法なんだけど、、、、説明するより実際にやったほうが早い!


って事でバイバーイ!」


「え、ちょ、ちょっと待ってくださいよ!


死神様!」


にこやかに薄くなっていく死神を見ながら智也は消えて行った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る