オムニバス

白美人

パートA 逆転(テーマ:いじめ) 第1話「始まり」

私は、いじめを受けている。


クラスのリーダーで、完璧でカルト的な存在である「みゆき」と、同じ名前で、いじめを受けている「私」、「美雪」。


私は、太っていて、ブサイクで、身体中が汚くて、卑屈でネガティブで自己肯定感が低くて、「豚」と呼ばれている。


豚の方がまだ可愛いし、私を「豚」と呼ぶのは、豚に失礼だ。


私は、人類のゴミクズだけど、豚は可愛くて愛らしいし、太ってはいるけど汚くはない。


なのに、何で豚より遥かに醜い私を豚って呼ぶの?


そう思っても、無駄か。


私は考え直し、脳内で「逆転」の方法を考えながら、いじめを受け入れた。


今日は、泥水をかけられた。


前に、とあるニュースサイト的なので、「美味しい泥水」を見たけど、そういうのがあればいいのになぁ。


現実の泥水は、不味くて、飲み込んでしまうと死にそうだった。


「みゆき」は美人で、痩せていて、スレンダーだ。


黒髪のつややかなボブが似合っていて、私もあの子みたいに綺麗になれたらいいのに。


あの子になりたい、あの子にナリタイ、アノコニナリタイ…


羨んでも、無駄だ。身体が入れ替わるのはフィクション、仮想世界の話。


私は入れ替わるわけが無い、無駄だ。


+++


私がいじめを受けるきっかけ、それは些細なことだった。


間違えて、クラスのリーダーの「みゆき」とぶつかった、それだけだ。


前から、「みゆき」は、私の存在を気に入らなかったようで、私が間違えてぶつかり、同じ名前で、容姿も性格も違いすぎる2人なんか気が合うわけがない、そりゃ虐められるわけだ。


でも、チャンスがある。


夏休みはもうすぐだ、その間にイメチェンすれば美人になって、逆転出来るのでは? 私は、ぼんやりと頭で考えながら、下校することにした。

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