第63話 第5次派遣からの帰還
■ファミリーセブン 札幌駅前店倉庫 ~第5次派遣帰還~
5回目の派遣から戻って来たタケルは西條と打ち合わせスペースで定例の帰還報告を行っていた。
「今回はボルケーノ鉱石を採取できました。その時に真っ赤な鉱石を見つけたんですけど、西條さんは何か知っています?」
「赤い鉱石? 聖教石を加工した物では無くて?」
「はい、聖教石は加工すると透明感のあるルビーみたいになりますけど・・・、それとは違ってもっと濃い赤で透き通ってないんですよ」
「うーん。聞いたことも見たことも無いな。そもそも、僕は聖教石の加工が得意ではないんだよ。タケル君ほど、自在に加工できる人も居ないとは思うけどね」
「聖教石加工といえば、やはり東の大司教だろうね。ドリーミアでは彼女より詳しい人はいない」
(やはり、国の中での情報共有が不自然なくらい遮断されている気がする)
「東の大司教にも西條さんからの紹介状をもらえますか?」
「勿論、書いてあげる。だけど、そんなものいらないと思うけどね。むしろ、行ったら帰してもらえないかもね」
「?」
「それより、次は皇都に行くんでしょ?」
「はい、ダイスケの武器を回収した後に皇都へ向かいます。・・・西條さん、変な話をしても良いですか?」
「良いよ、なんでもどうぞ」
「そのぉ、ドリーミアで子作りするようなことしたら、マズイですよね?」
「!」
「・・・、いやぁ、別に構わないとは思うよ。『勇者様はその心のままに』だからね。だけど、君たちはいつか・・・、いや向こうで約1年後にはこっちに戻っちゃうからね。そこはわきまえてもらわないとね」
西條は怒っていると言うよりは興味深そうな顔でタケルを見ている。
「そういう事を、既にしちゃったって事?」
「いえいえ、そんな事はしていません。だけど、魅力的な若い女性が多いものですから、自分やメンバーの理性がどこまで持つか・・・、少し心配で」
「なるほどね。まぁ、こちらの世界と同じで相手を傷つけるようなことは、しないほうが良いと思うけどね。僕から言えるのはそこまでかな」
「その通りですね、ところで魔竜の復活と言うのが相変わらず見えてこないです。既に我々が言ってからでも40日が経過しているのに」
「うん。確かにね。だけど、これも『その時が来れば判る』としか言えないから」
「判りました。もう一つだけ聞きたいんですけど、『土の魔法』って、そもそも何が出来るんですか?」
「こっちのお役所みたいで申し訳ないけど、僕はほとんど答えられないね。知ってる範囲で言えば、土壌を改良したり、川の堤を硬くしたりすることが出来るらしい」
「だけど、使える人間はほとんどいない。僕も使っているところをみたことさえない。もし興味があれば、皇都の枢機卿に聞けば詳しい人を紹介してくれるよ」
「枢機卿にも会えるでしょうか?」
「彼も大丈夫、皇都の大司教に会えば枢機卿のところへ案内してくれるはずだから。会えばなんでも教えてくれる。面倒なのはリーブスだけだね」
(皇都のリーブス大司教、どれだけ気難しいのやら)
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