第3話 旅立ちの日
■ファミリーセブン札幌駅前店 倉庫
7時30分に到着した武は西條が用意した服に着替えた。
渡されたのはコンビニの制服、下着と靴だ。よろいや防具の類ではない。
「もっと、それ風のものは無いんですか?」
「うん、それが勇者の目印になってるし、他はダメなんだよね。でも、その制服は特別性だからね。全て天然の素材だよ。現地で調達した装備は次回現地に行ったときに残ってるけど、制服は転移時の必需品だと思って」
着替えが終わった武は昨晩準備した品を包んだ大きな布を斜めに背負い、ズボンのポケットにはフィッシングナイフを入れた。
倉庫のドアがあいて、頭部が少し寂しい中高年男性が入ってきた。
「おはようございます」
西條が声を掛けたので、武が続いて挨拶した。
男はペコリとこちらに頭を下げたが何も言わなかった。
「高田さん、こちらは新しいリーダーの山田さん。よろしくね」
「よろしくお願いします。」
武も挨拶したが、高田はさっきと変わらず、ペコリと頭を下げるだけで声は発しない。
「高田さんはあまり話さない人なんだよね」
小さい声で西條がささやいた。
「おはよぅーす」
今度は若い男性が木刀を持って挨拶しながら入ってきた。
小澤さんだろう。180cmぐらいの身長で細身だ。
ハンサムとはいえないが、不細工でもない。
清潔感もあるし、それなりにモテそうな感じがする。着替えながら武をチラチラ見ている。
全員着替え終わったところで西條が3人を見て声を掛ける。
「じゃぁ、山田さんが今日からなのでよろしくお願いします。高田さんも小澤さんも3回目だからある程度は理解していると思うけど、中島さんは向こうの8時間後に合流しますから。今日はなんとしても、スタートスの町へたどり着くようにがんばってください」
「そこから先は聖教会に聞いてもらって、最終的には魔竜討伐をお願いします。では、出発しましょう!」
三人を連れて倉庫の奥の部屋へ向かう。
テンキーパッドと指紋認証を併用したセキュリティに守られた部屋には、1mぐらいの高さの水晶のような石柱が五角形に並んでいた。
電気も窓も無いが水晶自体が光っており、部屋は薄暗い程度の明るさを維持している。
西條は部屋の鍵を内側から閉めて3人を五角形の中へ誘導した。
「じゃぁ、ドリーミアへ送るからね。頼んだよ!」
西條は目を閉じながら両手を前方にかざした。
その瞬間、タケルの目の前の景色が変わった!
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