俺と青春の方向性の違い
白木雪
第1話 意図せずハーレムになりがちな部活
三階端、日常の喧騒とは無縁な部室は、読書するにはもってこいだ。
えっちらこっちら筋肉痛で痛む足で一段一段階段を踏みしめるように上る。
流石に本を持ってきすぎた。しかし、これからのことを考えると悪くはないだろう。
今日こそはたっぷりと読書ができる。
目の前の扉が勢いよく開くまではそう思っていた。
「さあ、今日も話題を求めて校内を駆け回るぞ!」
門番まさしく、扉の前に立ちはだかる先輩。
「嫌ですよ!ホントに校内駆け回るだけじゃないですか!」
古傷のように筋肉痛が疼く。
「ふっ、廊下に出ている時点でチエックメイトなのさ!さぁ、行くぞ!」
「いや今来たばっかですから!これから部室でお茶飲みながらまったりする予定ですから!」
助けを求めるように部室の中を見る。
そこには既に本を片手にくつろぐ二人の先輩の姿があった。
「ちょ、先輩方助けて下さいよ」
「ごめんね、今ちょうどいいところなの」
「私もだ、読書に犠牲は付き物だ、気にするな」
「もうちょっと気にしてくださいよ、犠牲になる側のことも!」
「いいじゃないか、人柱力になったと思えば」
「明らかに自分じゃ無理ですって!もう全身筋肉痛ですって」
「決めた!今日は全校生徒にNARU●O派かブリ●チ派か聞いてまわるぞ~」
「ぎゃあああああ、せめて荷物は置かせて~」
引きずられるようにして活気盛んな一、二階へと向かう。
こうして、新聞部の静寂は保たれた。
俺、市原美幸を犠牲にして。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます