第26話 ジャンル変更は突然に……

 前回までのあらすじ!!

 天音が持つ伝説の剣の名は『フラガラッハ』と決まった。フラガラッハとは『報復者』の意味を持つ。そして切れ味はどんな防具でも防ぐことができず、一撃で敵を倒してしまうほどであり、。またフラガラッハはどんな『鎖』をも切り裂くことができるとされている。

 更にはフラガラッハによってつけられた傷は『治癒されない』といった、ある意味『呪い』も付属されている。これは『聖剣』……いや呪われた『魔剣』ともいえよう。なぜなら剣を抜いたが最後、敵を1撃で倒すか、剣を扱う者が不幸な死を遂げる…そんな不吉ないわくつきの剣なのだから……



「作者がさ、ついに真剣マジでファンタジーを書き始めやがったよ……」


 今まで散々ファンシーでコミカルな異世界RPGモノを書いてたクセに、ほんとこの最近の変わりようはなんなんだ?


「あぁそういえば最近、この物語のジャンルなんか違くねぇ?』と言ってましたよ」


 と静音さんがサラリと重要なことを仰ってる。


「……なになにそれどうゆうこと???」


 えっ? えっ? 今更??? だってさだってさ、もう26話でしかも



9万文字近くも書いてんだよ? それを今更「ジャンルが違いました! てへぺろ♪ なんてそんなバカな話があるのかよ……。


「だ、だったら静音さん。この物語は一体何のジャンルになるの?」

「ふふっ、よくぞ聞いてくれましたねアナタ様! その言葉を待ってましたよ♪」


 もう絶対故意だよねそれ。だってそう聞くように仕向けられた感あるもん。


「では雰囲気を盛り上げる為にドラムロールスタート! でろでろでろでろ、ででーん♪」

「いや、自分の口で言うのかよ……」


 静音さんは効果音SEの代わりにマイセルフとして、ドラムロールの真似をしていた。これもアニメ化を意識した制作費削減コストカットの一環なのか? それと、そのドラムロールは本当に合ってるのか? オレの耳にはゲームを始めたら、「データが全部消えちゃいました♪ てへりっ☆」のBGMにしか聞こえないのだがな。


「でん♪ な、な、な、なんと『ローファンタジー(?)』らしいのですよ!!」

「はぁローファンタジー……ね」


 なんで最後『?』が付いてるのかは些か疑問なのだが、それよりも、もっと大事な問題があった。


「静音さん、そもそもさ『ローファンタジー』ってぶっちゃけ何が違うの? イマイチ今までとのジャンルの違いがわかんないんだけどさ」

「あ~…その……呼び方ですかにゃ?」


 猫っぽく可愛らしげに首を傾げる静音さんがそこにはいた。


「んなことは言われなくても解かってんだよ!」


 本来ならそんな静音さんをカワイイ♪ と思うのだが悲しいかな、それよりも先にツッコミの方が打ち勝ってしまった。


「はいはい、わかりましたー。説明すりゃいいんでしょー」


 オレのツッコミによって、静音さんがすごくめっさヤサグれやがったよ。


「え~っと……ね。明確な『違い』はありませんね!」

「……はっ? だったら意味なくねぇ?」


 静音さんの適当、いやその簡易的な説明に対して、オレは突っ込むのも忘れ素で反応してしまう。


「……ですね!(ドヤ)」

「いやいや、ドヤ顔されて決められても反応に困るんですけどさ」


「あとはそうですね~『現実世界をモチーフにしたファンタジー』の事をそう呼ぶらしいですよ! たぶん(キリッ)」

「あー、そうなんだぁ~ ……ってそれ・・がジャンル変更の一番の理由じゃねぇかよ(ビシッ)」


 あ、危ねぇ、危うく気づかずにそのまま受け流すとこだったぜ! この作品唯一のツッコミ役としては、もはや1秒たりとも油断もできねぇわ。あとそれは『たぶん』ではなく、『駄文』だなきっと……。


「あ、あのキミ達……。そろそろ物語本編・・を進めたいのだが……いいかな?」


 天音がオレと静音さんに苦情を述べた。


「んだ、んだ」

「(コクコク)」


 また敵役のアルフレッドのおっさんとクマBまでもが、それに賛同していた。

 よくよく見れば、天音は伝説の剣である『聖剣フラガラッハ』を右手で持ち空に向け掲げていたのだが、心なしか剣が……いや、掲げている右腕そのものがぷるぷると震えていたのだ。


 も、もしかして天音は前話からずっとあのポーズのままだったのだろうか……。



 迎えを待つおじいちゃんのように右腕をぷるぷるさせながら、第27話へとつづく

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