第27話 座右の銘披露



「もしかして双子ちゃんですか?」




振り返ると美少女が居た。



「「はぁ」」



可愛い子がうちらに何用なんだろう?と言う疑問と、突然の質問に動揺してしまい、気の抜けた返事になってしまった。




「やっぱり!この前もこの棚に来ていましたよね!?双子っぽいなーでも違うのかなーってずっと気になってたんです。うわぁ~スッキリしたー」




はい、可愛い。

うちらの『はぁ』に気を悪くした様子も無く、胸の前で手を合わせて喜びながらはにかんでいるのが最高に絵になってる。



腰まである明るい茶髪を三つ編みで1つに結んで背中に垂らしていて、キラキラな瞳の色は綺麗な水色。司書さんの黒色エプロンが良く似合っている。見た目年齢はうちらと同じ、つまり確実に年下だわ。でも背の高さは向こうが10cmくらい上だわ。



「ハーフなんですか?」



可愛い子には話しかけたくなるのが人の性。

もちろん怪しい者では無いからセーフ。山椒を振りかけた時みたく『ハァハァ』は一切していないのでセーフ。



「はい!父が日本人です。でもって生まれも育ちも日本なんですよ。名前もほらっ!」



天使がうちらに近寄って名札を見せてくれた。




「「太一たいち そら?」」




「そうです!これでも一応新人の司書なんですよ!えっへん」



宝塚の皆さんも吃驚な美し過ぎる名前。そりゃ親御さんは瞳の色を見たら「そら」って名付けたくなるわー。てか、腰に手をあてて胸を反らしながら「えっへん」って可愛すぎ!悶えさせようとしているのか。きっとこの子はゲームとか2次元だったら魅了スキル持ちだ。…末恐ろしい子。




「双子ちゃんは高……大学生ですか?」


「「いやいやいやいや……」」




悪意ゼロの質問の攻撃力は高い。しかも「高校生ですか?」って明らかに聞こうとしてた。そもそも「双子ちゃん」って呼ばれる年齢はとっくに終わっている。(ご高齢の方からは除く)



「8年前に大学出てますから、(新卒であろう)太一さんとは多分小学校も被ってないと思います」


「………うん」

こくこく。



「わっ!すみません!わたしも童顔って良く言われるんですけど、お二人は同い年かちょっと下かなって思っちゃってました」


「「良く言われます」」



真実はいつも残酷。こんな可愛い子にも年齢を間違えられる、色気も女っ気も皆無なうちら。あれなの?ちょっとそこまでの距離でもしっかり化粧をしないとなの?



「あ!学生さんかなって思った理由は見た目もそうなんですけど、若い人が滅多に寄り付かないこのジャンルに居たからなんです。レポートでも書いてるのかなって」



不自然に見えないように視線だけで隣のみーちの顔をサッと見る。みーちも同じタイミングでこっちを見てきた。テレパシーなのか分からないが、おそらく「あーち!上手く誤魔化して!」と訴え掛けてきている気がした。無理だよ。



「に、日本史が好きで個人的に勉強し直しているだけです」



しまった。ちょっとどもっちゃった。お願いだから深く言及してこないで…。



「そうだったんですねー。……あれ?結婚しているんですか!?もしかしてお互いご近所に住んでて、二人で良く合ってるんですか?」



天使な小悪魔ちゃんは微笑みを絶やすことなく、攻撃の照準をみーちに変更した。


みーちどうする……?

素直に「気が付いたら実家に戻ってました」とは絶対言えないよね。即刻ヤバい奴認定されちゃうから。



「夫が単身赴任で1年日本に居ないから、その間実家に帰って来たばかりなんです」


「わー!それはちょっと寂しいですよね!一人っきりになっちゃうから…」

「そうですね……」



ファインプレー炸裂!

まず「夫が1年日本に居ないから実家」と言うことで、これからの1年の安寧が保たれている。

次に「実は子ども居ますよ」と年齢暴露の時に言わなかったのが効いている。

つまり相手に夫と二人暮らしだと相手に思わせる事に成功しているよ、奥さん。



……みーちの精神的ダメージは大きいけど。捨て身の反撃をしてくれて本当にありがとう。お陰で橋の下に捨てられた子犬のような潤んだ瞳と表情を相手から引き出せたよ。ご馳走さまです。


そんな可愛い子ちゃんはうちらの顔を交互に見て、そのままの流れで椅子に積み重なった本を確認すると、途端に慌てた表情なった。…可愛い。



「わわっ!わたし凄く引き留めちゃってましたよね!?ごめんなさい!」


「「全然全然っ!」」



両手を顔の横でブンブン振るところまでシンクロした。今日のシンクロ率めっちゃ高い。仲良しか。



「話し掛けて貰えて嬉しかったですよ!こっちこそお仕事の邪魔しちゃってごめんなさい。じゃあ頑張って下さい」

「では…」


「はい!ありがとうございます」




急いで椅子から本をかっ拐って足早に階段に向かった。




……しまった。



2階に行くんだからエレベーターに乗れば良かった。でもみーちも何も言わないし、全部天使の悪戯のせいってことで。身近に潜む[天使の悪戯]は勝手に髪の毛が結ばれちゃうことだけどねー。



2階で縄文の本をささっとチョイスして1階におり、慣れた手つきで貸し出し手続きをする。今回は6冊借りました。



斯くして双子一行は本と図書館カードをリュックに仕舞って、図書館を出た。




「あんな可愛い司書さんが居たら連日通っちゃう人絶対居るよねー。なんで今まで見たこと無かったんだろ?絶対に忘れないのに」



「あーちは回り良く見ないから」

「ぐっ……」



お爺ちゃんを危うく仕留めるとこだったのが記憶に新し過ぎて反論出来ない。人の噂も75日。あと75日経たないと忘れてくれなさそう。忘れろ忘れろ……。



「そうだ!スーパーに入る前にお財布の中1度見ておかないと!お会計の時に初見は危険行為だよ。ちょっと公園行こう」


「…話変えようとしてない?」



みーちは敏腕刑事バリの視線をこちらに向け続けながらも、図書館とスーパーと三角形の位置にある公園に進路変更してくれた。




今思えばお財布を1度もチェックしなかったのが、多神さんが夢に出なくなった原因の1つだったのかもね。「入金してやってるのに確認しないんかい!」と言う無言の訴えだったのかな。ちゃんと言葉にしてくれないと伝わりませんよ。壊れるくらい愛したって3分の1も伝わらないんだから。




でも、ごめんなさい。




こんなオーパーツみたいなお財布は極力触りたくないし、視界に入れたくないんです。お買い物の時だけの付き合いでいたい。…勿論、絶大なる感謝は多神さんにしていますよ。謝謝シェシェ



トコトコと歩いて図書館から20m程離れたところで、先程聞いたばかりの声が後ろから聞こえてきた。




「小澤さーん!待ってーーーっ!」




あれ?さっき名前言ったっけ?

でも小澤はうちの名字だし、思いっきりこっちに向かって天使が走ってきてくれている。きゃわわわわ……キュン。



「太一さんどうしたんですか?」

声をかけたタイミングで目の前に到着した。この子、足速い。健脚だ。



「はぁはぁ…間に合ったー!図書館カード忘れてましたよっ!」



膝に手を置いて呼吸を調えながら、細くて綺麗な白い手でカードを渡してくれた。

それを受け取ってすかさず名前を確認。



「あれ!?本当にうちのカードだ!ちゃんとリュックに入れたと思ったのに!うわーっ本当にありがとうございます!すみません走らせもしちゃって……」


「(この馬鹿が)すみません……」



「良かった~。このカードが無いと大変ですもんねっ!」



はわわ……今がっつり曇り空なのに、この天使ちゃんの笑顔が眩し過ぎるっ!照り返しで目が潰れそうです。【美人は自然光で光輝く】と言う格言がたった今誕生した。



「それにしても良く名前が分かりましたね。お陰で助かりましたけど」

「あぁ!それはカードに印字された本のタイトルを見たらすぐに分かりましたよ!」



手に持っているカードのうちの名前では無く、わざわざ近寄って本のリストを指差しながら教えてくれた。このカードは宝物にしようと思う。



「なるほど!日本史の論文を借りる稀有けうな人間はそうそう居ないからですね。今度からは本当に気を付けます!」



日本史勉強してて良かった。ずっと探し求めていた癒しにも逢えたし、多神さんマジ感謝。さんきゅーでーす。



「いえいえー!図書館でお預かりして、次回いらした時にお渡しするのでも良かったんですけど、ちょっと個人的にお願いがあって勝手に追っちゃったんです…」



あ、照れながら頬を指でかいて申し訳なさそうな顔をしている…。これが『尊い』ってやつなのか。可愛い子のお願いを叶えることは年長者の義務。さあ、どうかうちらに出来る範囲のことを言って!かもんかもん。




「「お願いって何ですか?」」



まさかのみーちもノリ気だった。


目に強めの光が宿っている。

良し良し…太一さんのこの可愛さで、うちがカードを忘れたことに対する苛立ちを記憶から消してくれ。ついでにお爺ちゃん暴行未遂も一緒に。



「わたし…この図書館に着任したしたばかりで、この地域のこと全然分からないんです。知り合いも友人も近くに居なくて…。だからお二人に仲良くして欲しいなって思いまして……ダメ…ですか?」




………。




ダメな訳が無い。




寧ろこちらこそ喜んで。エプロンの裾をキュッて両手で握って、頬を桃色に蒸気させて言うなんて反則技だわ。自分が男だったら告白と勘違いしてる自信がある。でもうちは女だし、頭はイカレてはいないので日本語の意味をちゃーんと分かっていますよ。だから安心してね。なりましょうお友達に。



「もちろんです!是非仲良くしー………」



バサバサバサッ!



「きゃーっ!」

「うわっ!?えっ!?」

「危ないっ!」




実写版天使の手を取って握手しようとしたら、間にめっちゃ大きい烏が割り込んできた。何処から出てきたの、この烏は。


てか、みーち!太一ちゃんをすかさず身を呈して守りに行くなんてイケメンの所業だぞ!格好良いよ!ひゅーひゅー。



「カァーカァーッカッ!」


「ひっ!……た……何で!?」



烏はうちに完全にお尻を向けて、天使に下から見上げながらあたかも話し掛けているように見える恐怖。

それに対して、天使は見下ろして泣きそうな表情を返している。


それを見て、「ここ現代の日本だよね?」って今凄くみーちに話し掛けたいのを必死に我慢しているうち。



それにしてもこの烏、サイズもそうだけどくちばしと羽の艶めきが凄い。どっかでラメ振りかけられたんかってくらい輝いている。

絶対にここら辺のボスだ。太一ちゃんが光って見えたから拐いに来たんだ。……お目が高い。



「カッカーカッ!」

「ううっ……」



ハッ!天使の目から光るモノが溢れ落ちそう!

それを見てみーちが太一ちゃんをキュッと抱き締めた。太一ちゃんも小さき勇者みーちにしがみついた。……ずるいぞ。

詰まる所、今両手が空いているのはうちしか居ない(烏を除く)。



この良く分からない現状から太一さんを助けたい……でも烏ネットワーク怖い。烏は知能が高くて、ムカついた人間の顔を覚えるらしい。しかも縄張りの仲間にもしっかり情報共有をする抜かりの無さを持っているときた。ちょっと変装したくらいだと、騙されてくれない賢さもある。つまり、今動いたら確実にアウト。この住みやすい街から去らないとになってしまう。



でも、潤目の天使を生け贄にして逃げ出す愚か者はこの世に居るのだろうか。答えは……ほぼほぼ居ないと思う。



考え方を変えてみるんだ、麻来。1年前の今日をもう1回過ごすのはこの状況から太一ちゃんを救うためだったんだと。


座右の銘を思い出すんだ、麻来。【女は度胸と愛嬌】でしょうが。ガツンと行ったれ!




らじゃーっ!




「ダメーーーーーーーーっ!」



二人とうちの間に居る、目下の烏に向かって思い切り手を払う。お爺ちゃんに当てなかった分をこの鳥類にぶつける!



「カァー…」

パサッ。



このラメ烏は後ろに目があるのか溜め息らしきものを吐きながら最小限の動きでうちの攻撃を跳び跳ねるだけでかわし、カラダ1つ分ズレた所に着地した。しかも着地と同時に半回転してバッチリうちの目を見てくる抜け目の無さ。終わった。



「カッカァカ……」



え……?



なんかこの烏が疲れ気味に「余計な事をするな……」って言ってきた気がする。ついにうちの頭はイカレてしまったのだろうか。

とりあえずイカレた頭で分かったことは、ラメ烏には勝てないってことだけ。みーち何とかしてくれ……。姉の仇を討っておくれ。



うちの愕然とした表情から勝利を確信したのか、烏は再び背を向けて光り物、もとい太一ちゃんに向き直った。




「カァッ!」

「いやーっ!」



カッカッカッカッカッカッカッカッ…!


「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダっ…!」





これはっ……思っていたのと違うっ!



太一ちゃんの足を狙って烏が嘴を刺そうとするのを、素早く太一ちゃんが華麗なバックステップで避けていっている。これをひたすら繰り返しているから、どんどんうちらから離れていく……。



そりゃ助けたいよ?でも無理なの。

信じられないくらい超高速だし、烏は翼を思いきり広げているから助けたくても太一ちゃんの元にはもう行けない。



指を広げてその間をペンでトントン突いていく、[ファイブフィンガーフィレ]みたいなの妨害出来ない。

何よりもう1人と1羽の世界になっちゃってる。絶対周り見えて無い。もしあの動きで周りが見えていたとしたら色々超越しちゃってると思う。



てっきり烏は脚で太一ちゃんの肩なり服なりを掴んで拐って行くと思ってたのに、違った。地上戦だった。



今度会った時に死ぬ気で太一ちゃんに謝ろう。

「無力な人間でごめんなさい」って。



……あ、無事に図書館の中に避難出来たみたい。バックステップのままだったけど。



烏も屋内に逃げられたから諦めたのか、何処かに飛んで行った。どうか仲間にうちらの事を報告をしに行ったわけではありませんように。



「………」

「………」



一連の流れを目の当たりにした双子は、呼吸も忘れて暫し呆然と立ち尽くした。

今日と言う日を絶対に忘れないだろうなと深く思いながら。




「…みっ……見た感じ怪我もして無さそうだったし、図書館に戻ってまた話し掛けたら良い加減業務妨害になっちゃうよね。それに烏が戻って来るかもしれないから、今日はもう……公園行こうか」


「………うん」




そこからは一言も発する事無く目的地に着いた。ちらほら人が思い思いの過ごし方をしているが、丁度空いているベンチがあったので、視線で合図を交わして迷わず座った。



「あんな非日常の光景だったのに、誰もうちらを気にも留めなかったね…」


「道路挟んで向こう側は人通ってたけど、私たちの方には誰も来なかったねー」



そうなのだ。結構普段から人通りがあるのに過疎化が急激にうちらの周りだけ進んだかのようになっていた。烏とのバトルに関しては、神の見えざる手を行使されていないと信じたい。一般人巻き込んでますよ、神様。……あ、うちらも健全な一般市民だった。



1つ溜め息をつき、持っていたかも分からない幸せを2人同時に逃がし、思考を無理矢理切り替えた。



「では、会計の一色さんお財布を出して下さい」


「はぁ……はい」



トートバッグからみーちが渋々取り出した中古財布は、一見何も変化は見られない。数日前と同じ草臥くたびれレベルだ。



ぱちんっ!



みーちが目を閉じたまま思いっきり財布を開けた。

土壇場で普通裏切るっ!?……お陰でうちだけバッチリ中身が見えた。



「また小さい封筒が入ってる!」


「ぇ……?あ、本当だ」



目を閉じるから1拍遅れるんだよ。

同じ時間を生きようよ。あ、なんか安っちいプロポーズみたいな事を思ってしまった。個人的には「同じ時間を生きよう」って言われたら、「一緒に居なくても時間は皆平等に流れるよ」ってお返事しちゃうな。そりゃ結婚出来ないですねー。



そんな事を考えている間も一向にみーちが封筒を取らないので、仕方なく横から手を伸ばし摘まみ出す。


チャリッ。



「あ!小銭の音したよね!?」

「あーち見てみて」



みーち、君はブレ無いね。やっぱり自分の手は極力使わないんだね。裏番長スタイルか。


確か3日間で3396字打ったから、そのままの金額が入っているはず。入って無かったら夢で「性根を入れ替えますから、どうか慈悲をっ……!」って多神さんにすがらないと。


ジャラッ!


封筒の中身を手に出してみると、数えやすい枚数の小銭が目に入った。



「……いくら?」


「396円だ!しかもちゃんと小銭が3日分まとめてあるっ!」

「凄いっ!多神さん良い人だねーっ!」



うんうん。正直1円と10円の枚数がエライこっちゃになってると思ってたけど、多神さんは気遣いの方だった。三つ折で入っていたお札も3枚ちゃんとあった。……流石に2千円札にはしないんですね。



「ん?また手紙っぽいのが入ってる」

二つ折の小さい紙をペラリと開いた。



『確認してくれ』



小澤、確認しました。相変わらず綺麗な字ですね。

「ありがとうございます。確かに受けとりました」



「………外で斜め上見ながら両手組んでお礼言わない方が良いよ。私が変人の仲間って思われちゃうから」



「むっ!なら指輪に向かって言う……ありがとうございました。今後とも宜しくお願いします」

「うわ………」



失礼しちゃうな。いつ何処で見られているか分からないから今言ったのに。


あと良く考えてみて欲しい。指輪に向かって言ってみたのはあくまでポーズであって、ボケだから。笑うところだから。

まぁ、万が一多神さんに指輪経由でしっかり言葉が通じていたら、それこそ盗聴器確定になってしまうけどね。やっ……やましい事なんて一切無いけどねっ。



「両替機能も備わってるし、先に3万円の方から使って、足りなくなったら封筒のお金を使おうか」


「ん。入ってた手紙はどうするの?」



みーちがうちの指に挟んである紙を見て言って来た。毎度良い質問をしてくれますね。

片方の口角をクイっと上げて、キメ顔でお答えしましょう。



「ふふふっ。丁度良い大きさだし栞にしようかなって。それに文面も『確認してくれ』だよ?大事な箇所に挟むしか無いでしょー」


「そう……」



ちなみに図書カードと一緒に入っていた『使うと良い』は、既に栞と言う第2の人生を送っている。次の手紙には是非とも、『忘れるな』とか『大事だぞ』って書いて欲しい。



お金を封筒にしっかり戻し、財布にリターンした。みーちがバッグにしまう時に一瞬遠い目をした気がした。けど、その跡に思いっきり嘆息してから一気に立ち上がったから、彼女の中では必要なことだったのだろう。



「よし!買い物しよう」


「はーい」




予定よりだいぶ遅くなったけど、最終目的地のスーパーにやっと着けた。



うちの口はアジフライだったけど、チキン南蛮を推す熱意の強い人に負けた。

そして大好きな茄子は貴族にしか買えないお値段になっていたので、安定の冬野菜の白菜を買って帰りました。




夜  曇り



ズバンッダァンッッ!



「あ」



「ねぇ何の音!?あと『あ』って何で言ったの!?『あ』って何?」



台所のうちの手元から発された音に対して、リビングでのんびりテレビを観ていた妹さんが思いっきり振り返って聞いてきた。何故爆音で音楽をイヤホンで聞きながらボテチを食べていてくれていないんだ。



「………白菜切っただけだよ?さ、気にせず寛いでて」


「ふーん…」



懐疑的な視線をしっかりとこちらに向けてから、彼女はまたテレビの方を向いた。まさに緊張の一瞬だった。


白菜を切っていたのは本当。

でも同時にまな板もちょろっと切ってしまった故の音だった。削ぎ切りは包丁のまな板に対する入射角が絶妙になるから危険と覚えた。


このまな板に出来てしまった可愛いらしい切り込みは、元の時間に戻ればちゃんと無効、無かったことになりますよね?ねっ?




プチハプニングがあったが、怪我も無く白菜のうま煮を食卓に並べられた。実々さん、明日は残ったうま煮で美味しい雑炊が作れますよ。





11/22(Thu)


今日は日本史をお休みしました。

みーちは「明日2倍やれ」って言ったけど、まとめってそう言うものでは無い気がします。


英国紳士なお爺ちゃんは、きっと若い時にブイブイ言わせていたに違いない。イケメンの面影がしっかりと残っていました。一緒に紅茶を飲みたいです。眼鏡最高。


天使な太一ちゃんには、確実に図書館に日参してる信奉者が複数人居ると見た。うちらはお友達(仮)だから対等な関係♪Yeah!一緒にパフェを食べてキャピキャピしたいです。

で、あとやっぱり可愛い子は「きゃーっ!」って自然と言えるんだなって思いました。


この2人がこれからのうちの心の癒しになりそうです。


夕飯に久しぶりに料理をしました。みーちは「調理行程は絶っ対見たくない」や「ご飯に混ぜ物するな!チキン南蛮が泣いてるぞっ!あともう少しお水入れて炊いてよ!」と、いつもより感情を露にしていました。雑穀米は重罪ですか?炊き上がると紫になるお米が好きなんだけどな。


みーちとはこれからも主食戦争をしそうです。


               おわり

[字数 3396+0=3396]

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