第48話
ヒロキは少し考え込んでいた。
「何…って…ペット…。」
ペット…ペット…ペット!!!
…私はヒロキにとって…飼い猫くらいの存在でしかなかったんだ…。
もうダメだ。
終わりだ。
眩暈がする。
吐き気がする。
心臓がドクドクいって破裂しそう!
苦しいよぅ…。
涙が洪水のように流れ出るけど、そんなの構ってられない。
ここから避難しなきゃ!
私は部屋の中に走っていって、最初にヒロキのとこに来たときに持ってきたキャリーバッグに自分の物をめちゃくちゃに詰め込んで玄関の外に飛び出した。
全速力でエレベーターの方に走った。
後ろの方でヒロキが私を呼んでいる。
追いかけてくる。
エレベーターのドア速くしまれ!
マンションの外に出て、全速力で大通りに走った。
ちょうど止まっているタクシーがいたので飛び乗ってすぐさま走らせた。
後ろを振り向くと、ヒロキが走って追いかけてくる。
でもタクシーは赤信号には引っかからずに、ヒロキには追いつけない距離に私を連れ去った。
「あの~、どちらまで行ったらいいですか?」
タクシーの運転手さんが聞いた。
「…すみません、ここで降ろしてもらえますか?」
タクシーを降りると、もう外は薄暗かった。
行く当ても無くキャリーバッグを引きずるように歩いた。
とぼとぼ歩いていると、後ろから同じ速度でついてくる足音に気付いた。
気持ち悪くて歩く速度を上げた。
するとその足音も速度をあげてきた。
思い切って振り返ると、あの男が立っていた。
男は薄っすら笑みを浮かべて言った。
「みぃ~つけた~!」
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