第15話 観葉植物とコーヒーと、お気に入りの音楽があればいい(従業員・内田の生活)

 父親の退職と共に、両親揃ってしばらくマレーシアへ移住するなんて言うもんだから、僕は実家に戻ることにした。


誰も住まなくなると家は急激に傷みやすくなるし、かと言って得たいの知れない他人に貸すなどもってのほかだ。


姉は結婚してシンガポールに住んでいるので、残された僕が実家に住むことにした。



 勤めていた隣県の会社は辞めることにして、早々に退職願いを出した。


消化し切れなかった有給をまとめて取ったので、その間に次の職場を探そう。


住んでいたマンションも、更新時期が近づいていたのでタイミング的にも良かった。


まるで家が僕に帰って来いと言っているような気がした。



 実家は都心部から少し離れたベッドタウンにあり、バブルの始まりの頃に開発された街というせいもあってか、高級感が漂っていて雰囲気がいい。


クリスマス時期になると、駅前に大きなクリスマスツリーが飾られて、外国の町並みのようになる。


学生時代は、その当時の彼女と手をつないで、よくツリーを見に行ったものだ。


毎年見に行く彼女が違っていたが、それぞれいい思い出だ。


たまに同じ年で何人か違う彼女と行ったこともあったが、それもまた一興。


イマカノの前でモトカノに頬をぶちまわされたこともあったが…、フッ…今となっては懐かしい思い出だ。



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