ポーカーフェイスと愛想笑い
海月
0日目
第1話
私が目覚めた時、そこはいつものアパートの一室ではなく、全てが真っ黒な部屋だった。
丸い、洒落た小さめのテーブル、クッションが敷いてある椅子、皮のソファー、天井からぶら下がる、ぼんやりと光るシャンデリア。全て黒で統一されている。
当然私は思った。何が起きているんだ? と。私は焦ったが、こういう時こそ冷静に対処すべきと思い、部屋を観察することにした。今のところ分かるのは、部屋の物が全て真っ黒という事。唯一の新しい発見は、ドアがあるという事だけだ。
そう言えば、私の他に人は居ないのだろうか。物音が一切しない。時計の針の音だけが響く。少し不安だが、ドアを開けてみようと思い開けてみた。
開けた先はまた真っ黒だった。どうやら此処は二階らしい。そして、この建物は円柱形ということが分かった。目の前の廊下は円柱形に沿って出来ていて、左右を見るとどちらの端からでも降りられるように階段がある。廊下と階段には、落ちない様にしっかりと木製の柵が付いていた。
また、私の向かい側にもドアがあり、向こう側も此方と同じ様な構成になっていた。向こうにもきっと、同じ様に人がいるのだろう。
柵に手を掛け、穴が開いた様になっているところを覗いて見ると、大きい丸テーブルと、部屋と同じ数の椅子が並べてあった。天井からぶら下がるシャンデリアは、部屋のとはまた違うレトロな雰囲気を醸し出している。
此処は一体何をする場所なんだろう
なんて考えていても仕方がないので、もう一度部屋に戻って一眠りする事にした。誰かが起きて、起こされるまで。そう自分に言い聞かせて、私は爆睡した。
「おーい、おねーさん。起きてー。」
と、男に起こされたので私は起きた。……待てよ。なんだ、お姉さんって。私は歴とした男だ。お姉さんと言われる筋合いはない。反論してやろうと思い、口を開けたが先を越された。
「まだ起きてないの、おねーさんだけだよ。
早く着替えて、一階に来てねー。」
そう言うと男は消えた。
着替え? あの箪笥に入っているのだろうか。あぁ、このスーツのことだな。何やら番号が胸元に刺繍されている。私の番号は……『01』か。一番だ。悪い気はしないな。
私は着替えながら、あの男のことを考えてみた。金髪で、ピアスを付けてチャラチャラした感じだった。ざっと高校生くらいだろう。これが世間で言うチャラ男ってやつか。第一印象は……微妙だけどな。
そんなことを考えていたら着替えが終わった。早速一階へ行くとしよう。階段をサラサラと降りると、テーブルを囲むようにして私の前には九人の男女が座っていた。
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