第4話 新しい力は欲しかったアレ
翌朝、俺は目覚めるとすぐに力を確認した。
「は、ははっ! きたぞスキル【絶対解析】! これで【無限収納】にあるアイテムの価値が全部把握できる! 神様、ありがとうっ!」
それから俺は【無限収納】にあるアイテムを片っ端から調べる事にした。
「へぇ~……さすが【超豪運】って感じだなぁ。殆んどのアイテムが激レアばっかり……。よし、とりあえず使える魔導書は全部使ってしまおう。装備品もそんなに価値の無い物は全部売り払ってしまおうか。どうせ使う事はないだろうしね……」
その日からリクトは魔導書を読み漁り新たな魔法を身に付けていった。今まで身に付けていた魔法は火・水・風・土の四属性の上級までと、生活魔法だけだった。それに加え、リクトは新たな属性、光、闇、時空、神聖の四属性を身に付けていった。最初の四属性は全て最上級クラスである超級まで身に付ける事ができた。
「う~ん、別に望んでいないのにどんどんチート化していくなぁ……。ま、使わないからどうでもいいけど」
さらにリクトは鑑定を終えた不必要なアイテムを全て裏の店に売り払う。
「ストップ! こんなに買いきれないって!」
「え?」
「いきなりこんなに売りに出されても困るのよ。っていうか、どこからこんなに仕入れてきたの?」
「それは聞かないルールでしょ? それでも聞きたいなら違う所に……」
「ま、待って! もう聞かないからっ! 後、今買い取った物が全部売れるまで少し待って欲しいの。そうじゃないと店にもうお金がなくて……」
「……わかりました。ちゃんと適正価格で買い取ってくれてましたし、待ちますよ。来月辺りで大丈夫ですか?」
「え、ええ。……もしかして価値がちゃんとわかってるの?」
リクトは扉に手をかけて店主にこう告げた。
「もちろんですよ。鑑定、持ってますから。ではまた」
「あ、あはは……」
扉が閉まった事を確認し、店主は一人呟いた。
「価値がわかる……か。それだけじゃダメなのよ、ボク? 時にレアな物は価値以上の価値になる事もあるのよ。市場ではなく、オークションではね。ふふふ、さぁ稼ぐぞっ!」
店主は颯爽と店を閉め、今買い取った品物を抱えオークションハウスへと向かうのであった。
その頃俺は懐が豊かになった事で幅広く何かプレゼントを買って帰ろうと市場を散策していた。
「果物とか高級肉でも買って帰ろっかな。不要品売り払っただけで一億ゴルドも手に入ったし。それでもまだまだあるんだよねぇ……」
公衆浴場を売り払った金に不要品を売った金、さらに昔からちまちまと売ってきたお金が今総額二億近くある。前世での総資産には遠く及ばないが、二億もあれば遊んで暮らせるだろう。
「らっしゃいらっしゃ~い! 今日は良い肉入ってるよ~! 早い者勝ちだよ~!」
「すいませ~ん」
「へいらっしゃい! お、おつかいかい? 」
「いえ、プレゼントかな。おじさん、良い肉ってなに?」
「おじ……まぁ良い。今日の目玉はハイオークの肉よ」
「ハイオーク?」
ハイオークは確か魔物だったような……。
「おじさん、それって魔物じゃ……」
「んん? なんだ、知らないのか。魔物の肉は食べられるんだぜ。しかもハイオークはかなり極上でな。普段安売りされてるボアの肉なんて霞むくらいの美味さなんだぜ?」
「へぇ~……」
なるほど。やはり魔物の肉は食べられるのか。
「他に食べられる魔物っている?」
「ああん? そうだなぁ……。バード系、ホース系、ジスネーク系、フロッグ系、ボア系、ブル系が食えるな。ボアは安いがよ、それでもビッグボア以上の魔力がある魔物の肉は美味いんだ」
「へぇ~、魔力……」
「ああ。強い魔物ほど肉は美味いってのが冒険者たちの間では有名な話なんだわ。で、今日はたまたまハイオークが売りに出されてな。どうやらここから少し離れた山の中腹にオークのコロニーができそうだったらしい。そんで冒険者ギルドに大量に肉が入ったんでよ、外にも回ってきたのよ」
「なるほど……。あ、とりあえず全部買うよ、おじさんいくら?」
「ぜ、全部!?」
俺は三十万ゴルドを支払い、残っていたハイオークの肉を全て買い取った。
「金持ちだなぁ~、驚いたぜ」
「そう? 普通だよ普通。じゃあおじさん、色々ありがとね!」
「あ、ああ。また来てくれよ?」
それから再び町の散策を続け、屋台で小腹を満たした俺はふととある建物の前で足を止めた。
「……冒険者……ギルド。ここにだけは世話になる事はないね。クエストとか受けたら人助けになるんだろうけど……。多分神様の言う人助けとは違う気がするんだよね。例えば村長みたいに命に関わる~とかじゃないと力はもらえないんだろう。ってことで……ギルドさん、さようなら~」
俺は冒険者ギルドを華麗にスルーし、村へと戻った。
そして夕飯。
「リクト、このお肉……凄く美味しいわねっ! 生まれて初めてよっ……!」
「うん、母さんにはいつも世話になってるからさ。これは俺からの感謝の気持ちだよ」
「あぁ……、リクトが良い子に育ってくれて嬉しいわぁっ……!」
その日の夜はいつもよりかなり激しかった。そろそろ家具や寝具も良いの揃えた……うん、作れば良いじゃないか。わざわざ買わなくても作れる物は作る。
「すやすや……」
「可愛いなぁ、母さん……おやすみ」
成人してから先一人で寝た記憶がない。普通逆な筈だと思うが、どうやら母は寂しいようだ。
俺はそんな母を大切にしようと改めて誓うのであった。
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