SprinterS
NEXENON
プロローグ 『世界』
世界というのは、なにが起きるかわからないものだ。
急な政党変更、偉人の死、新商品の発売、宇宙人の襲来、大規模テロ。
誰も予測などできないからこそ、この世界は美しい。
なんてこと、君たちは分かりたくもないか。
私たちが住まう世界は、君たちの住まう世界から分岐された、遥か未来のお話だ。
旧西暦で2041年と呼ばれた時、どこからきたのか分からないが、まるでお伽噺や小説家の想像から産まれたような、異形のエイリアンや幻獣等の生命体が、私たちの世界を侵略するために襲来してきた。
様々な形と能力を持つその生命体は、地球に住まう生命を次々に虐殺していき、ついには世界人口は1/10まで収束されてしまった。
中には家族をその生命体に殺された人間だっているし、同種族間で疑心暗鬼が起きてしまい、殺害されてしまった者だって少なくない。
なんとか生き残っていた人類は、もう打つ手がないと悟って、死を覚悟していただろう。
しかし、その未曾有の窮地に、立ち向かった者がいた。
少しだけ話を変えよう。
君たちは、人間がアウストラロピテクスからどんどん進化していき、今のような美しく力強いダークブラウンや柔らかなパールオレンジ等の色とりどりの肌を持っていることを知っているだろう?
それと同じ、境地に立ち向かったその人間は、我々の知らない場所で進化していたのだ。
それが『特殊異形能力』
侵略してきた生命体が異形な力を持っていたことにより、人間は学習し、本能が自主的に能力を覚えたのだと思われている。
その特殊異形能力者は、自身の能力を最大限に使用したことにより、叡知のある異形生命体の知能や大きさ、力を、できる限り人間並に下げることに成功した。
しかし、その力にも限界と言うものはあり、自信の体力の限度により、襲いかかってきた異形生命体の全てを、人間のように縮めることには無理があった。
そんなピンチの彼を救ったのは、一枚の鏡だ。
彼はそれにヒントを得て、残りの知能のない野獣のような生命体を、そのままの姿で、鏡の中に封じ込めることに成功した。
能力者の命と引き換えに…。
その後、力も知能も失った異形生命体達は、ついには負け戦を悟り、人間たちとの争いを止めたようだ。
だからと言って、元々いた場所へ帰ることもできない愚かな彼らは、後に知能のある異形生命体を
しかし、その突飛すぎる平和の歴史を伝えるのには難解すぎたがため、私たちはあくまでもお伽噺として教わることしかできなかった…。
それから月日は流れ、新世界暦2056年…。
ここまでの長い月日のなかで、我が日本は『リージェンにとって住みやすい世界を』という民主的理念を志したことによって、我らの国は歴史的建造技術や装飾を残しながらも、新型携帯端末の製造や自動運転や長距離短時間移動車両、インターネット配達技術等の乗り物の発達、無人レジの推進や自動年齢認識等の接客業の進化、高齢や身障者、リージェンのためのバリアフリー化、自由を尊重するための教育現場の発達等と、様々な近代化整備が成された。
まぁ、そうは言うけど、外見や法律等が変わっただけで、2020年くらいからあんまり変わってはいないんだけどね。
だが、一番大きく変わったところと言えば、悪質な心を持った物からの被害を減らすため、我が国は県政を取り払われ、日本は八つの『地方』で呼ばれ、その地域ごとに発達や管理する物が選別され、町の構造などが、昔と変わってしまったと言うことだ。
例えば、今この話をしている私が住んでいるのは『バラーディア』、旧日本の呼び方で呼べば、関東地方だ。
さらに詳しく教えてあげるとなると、バラーディア地方TK市部27区。
ここでは、平和と均衡を守るために、大きな行政や司法、立法等を統制する機関の本部や、警視庁や内閣府等が、一斉にここに集められており、ここで仕事をしている者達は、度々、他の地方への出張が絶えないらしい。
他にも、衣類等の綿製品の研究機関が集められたクルスト地方や、日本発祥の様々な企業が集うプロミア地方と言った、特徴が捉えやすい様々な地方があるのだが、この世界に住む君なら、そこは追々知っていけるだろう。
旧日本の事を覚えている私にとってはとても扱いずらいが、これがリージェンにとって分かりやすいなら、私はこれでいいとは思っているよ。
まぁ、反発するような人間もいるがね…。
さて、こちらの世界のことについて話したところで、最後にこの物語についてをお話ししよう
昔から今までに、この新日本の一時の最高犯罪率はなんと25%だ。
その理由の一つとしてはリージェンの増加と考えられている。
所謂、移民増加のデメリット部分とも取れるだろう。
その影響で、リージェンの中では違法行為と共にビジネスを進める団体『ミラーマフィア』の出現が問題視されていたり、一方の人類では『人間至上主義団体』まで出てきており、リージェンへの虐殺までもいる始末だ。
第三者視点で見れば、彼らのやることはお互いに、犯罪立増加の原因と言うことに変わりない。
そんな特殊犯罪の増加を阻止するために、警視庁は特殊な武装をし、テロや重犯罪を防ぐために『武装警察』を設立し、今も犯罪率の現象に勤めている…。
おっと、一つ言っておくが、私は武装警察なんて対したものじゃないよ?
私は武装警察公認である探偵組織の長をやっている。
私たちが目指すは一つ…。
リージェンと純人類の統制がなされ、全ての人々が平和に暮らせる世界……であったり、そうではなかったり?
まぁ、その名前を告げるのは、ここでは控えておこう。
これから始まるのは、一人のお人好しな人間と、各々の罪を背負う我ら組織が、この愚かすぎる世界で、苦悩の雨に打たれながらも、償いのために戦い、生きていく、そんな物語さ…。
おっと、少し話しすぎてしまったね。
それでは、私は業務もあるため、ここで失礼しよう。
ん?私に会いたいかい?
なら、またここに来ると良い。
青色の瞳のコーヒーのカフェに…ね。
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