02 (異世界転生したら未来でした)

 パーン グチャ!

 頭を貫くような妙な感触と頭から響く破裂音…そして、気づくとそこは暗闇だった。

 周りを見渡してみるが、あたり一面が真っ暗な状態で、光源の類は一切ない。

 だが、光源が無いにもかかわらず 自分の身体はかろうじて見える。

 ナオは手を前に出し、ぶつからないようにまっすぐ進む…。

 手が壁にぶつかり、壁伝いに行けば 必ず出入り口につけるからだ。

 だが、壁を見つけようとするもやけに端までが長い、10分、20分歩いただろうか?

 はたまた、この状況で焦っていて実際は数分だったりするのだろうか?

 無音で聞こえるのは やけに大きいオレの心臓の音だけだ。

 そのような気の長くなる空間を歩いていると、オレの後ろから光源が現れナオの影が出来る。

 振り返ると、先ほど通った道にドアがありドアの端から光が漏れている。

 さっきは無かったのに…。

 ナオは警戒しつつも、現状 手掛かりが そこにしか無い為、扉を開けて中に入る。


 扉の先は応接室のような部屋に繋がっており、大きなソファーが2台あり、奥のソファーには女性が座っていた。

 身長は女性としては高く、黒髪のロングヘアの長い髪をヘアゴムで結んでいて、不自然にならない程度に大きく、体と調和の取れた胸…。

 服装は神職もビックリな、胸元が大きく開き胸を強調した白と赤の巫女服を着ていて、警戒しているオレに対して手招きをしている。

 オレは緊張を保ったまま手前のソファーに座り聞く姿勢を取った。

「遅くなってすまない…接続に時間がかかったものでな」

 そう言いいながら女性は足を組む。

「アンタは?」

「私はカレン。

 職業は、そう…神様にでもしておくか」

「その恰好かっこうで神様?」

 巫女服姿でよりにもよって神と名乗るか。

「で、神様がオレに何の用だ?」

 そう聞き返すオレに自称神は2本指で空間にL字を描き、青い仮想ウィンドウを表示させる。

 そしていくつかキーを押し、分厚い本を目の前に召喚させてパラパラとページをめくる。

「キミの名前は神崎直人カンザキ・ナオト君だね。

 早速で悪いが、君は2020年に何者かに銃撃を受け死亡した…その時の記憶はあるかい?」

「………ない」

 ナオは、淡々と答える。

 過去の記憶はもやがかかったように曖昧で、思い出せない

「ならそれでもいいさ…君は死亡し、ここに来た私は 君の今後の進路について決定する立場にある」

 カレンは、足を組み直して言う。

「天国か?地獄か?」

「ああ それにもう1つ…現世で『』する進路だ。」

「異世界転生か?」

 ここでこんな質問を自然に返せる辺り、生前のオレはアニメやライトノベルに詳しかったようだ。

「まぁ君からしたら 異世界だろうな…。

 こちらからは 君に丈夫な肉体とある程度 快適な生活を保障出来る。

 が、それでも苦労する事も多いだろう…。

 なら、このまま死んでいた方が、君にとっては楽かもしれない…。」

 カレンの表情が一瞬だが感情を見せる。

 オレがどう出るか分からず、緊張と焦りの状態だ。

「……。」

「生を望むか?死を望むか?」

「そんなの決まっている。生を望む」

 死は生きた後に楽しめばいい、どうせいつか死ぬのだから…。

「はは 君ならそう言って貰えると信じていたよ」

 カレンは、笑みを浮かべながら、緑色に輝く光の粒子に変わっていく

「私たちの世界でまた会おう……ナオト」

 そう言い、カレンの形をした粒子が綺麗に消えていくのであった。


 オレはそんな夢を見た。

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