⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】【書籍化に向けて活動中】

Nao

ヒトのキョウカイ1巻(異世界転生したら未来でした)

01 (ガンマレイバースト)

 星が滅びて行く…。

 はるか上空の宇宙そらから地上を見下ろす…6人の影。

 彼女らは機械人のエレクトロン…。

 この宇宙で最強の生命体とだ。


 地上には 200mの巨体を持ったの生物…『ラプラス』が1体いる。

 対するエレクトロンの地上戦力は12機…1対12の多勢に無勢だが、戦闘から既に『4320時間』が経過していて、エレクトロンは 300機中282機がヤツ1体の為に撃墜されている。

 ラプラスの身体から照射される無数のレーザーと戦闘機型のワームを従え、こちらを攻撃をしてくる。

 光速で飛んでくるレーザーを高速飛行で回避しながら6機のエレクトロンがラプラスに向かって猛スピードで近づく…。

 彼らは 魔法陣を展開し無数の弾丸を放った…。

 放たれた弾丸はラプラスに命中して行き…核融合反応が始まり、次々と爆発して行く…。

 三重水素を空間ハッキングで即席の核融合爆弾にした…核融合弾だ。

 核融合弾が エレクトロンから次々と撃ち込まれて行き、海水500㎏から生成された三重水素をすべて核融合弾に使った。

 核爆発による衝撃波と熱風が吹き荒れ、砂煙で視認が出来ない中…エレクトロンがをしながら更に近づく。

 無数のクレーター、熱でプラズマ化した大地…沸騰ふっとう干上ひあがる海面…。

 だが、この程度で仕留められるなら ここまでの犠牲は出ない。

 ラプラスは確率と過去、未来に存在するすべてのラプラスと繋がっており、無事な個体から損傷個所のバックアップをして貰い、瞬時に修復する…いや『損傷が無かった』事象を上書きし本当に無かった事にしてしまう…。

 核爆発の中…生き残った戦闘機型ワームが大量にエレクトロンに襲い掛かってくる。

 エレクトロンは戦闘機型を回避かわし、ラプラスに接近していく。

 後方には大量の戦闘機型…いずれ追いつかれる。

 オトリを選択した1機が 機体のステルスを解き、大量のワームを引き付けながら迎撃して 仲間から引き離す…。

 前方のワームの大群を正確に迎撃し、回り込んで背後から攻撃してくるワームの対処に一瞬遅れた…咄嗟とっさに空間ハッキングを使った防御シールドを展開…。

 ワームにシールドが当たった瞬間に ラプラスがワーム経由で逆にクラックされ、シールドが無効化されて貫通…。

 触れた物の分子構造の連結を解く事で相手を消し去る空間ハッキングを使われ、触れたエレクトロンは 身体が分解され 霧になり消えた。

 他のエレクトロンは仲間が稼いでくれた時間を最大限に使い、更に進む…。


 彼女らの目的はラプラスに直接接触する事…。

 空間ハッキングは短距離に限られ、長距離攻撃は出来ない…。

 だが、量子通信端末を持つ個体が直接相手に接触する事でパスを繋げられる。

 繋いでくれさえすれば、電子戦に持ち込める…。

 数や攻撃が一切効かない以上…解析し、対策を立てる為の資料を作るのが私達の役目だ。


 戦場のはるか上空の宇宙で 彼女らを観測し、指示を出しているエレクトロンのシロがいる。

「上手くいくと思うか?シロ」

 隣にいる 機械翼を展開し浮かぶ 銀色短髪の女性型で私の友人…ゲマが言う。

「どっち道、もうエクスマキナ都市とは連絡が取れない…。

 転送で帰還が出来ないなら物理で運ぶしかない…。」

 シロと言われた個体『太陽系S22587年生まれ258746番機体46番』が答える。


 視界不良の中…撃たれた弾を無かった事にし、撃たれた地点から予測し、レーザーを照射してくる…。

 味方機の1機が高出力のレーザーに当たりプラズマ化した。

 ラプラスは確率を知覚出来るので 最もいる可能性が高い所に向かってレーザーを撃つのだ…。

 だが それを知ってれば、わざと確率が低い軌道を取り 回避出来る…。

 そして それを気づかれる前に接近して 終わらせる。

 ラプラスを包囲するように 2機編成で4方向から接近する。

 ラプラスが すべての可能性にレーザーを発射…。

 2機編成の内前方のエレクトロンがレーザーを展開した冷却シールドで防ぐ…がわずかな時間を防いだだけで レーザーが貫通し、瞬時に身体がプラズマ化する。

 だが、前方のエレクトロンを盾にし稼いだ時間で レーザーの射角の下に潜り込み、4方向から4機が同時にラプラスに突っ込んだ…。

 ラプラスに触れた4機のエレクトロンを通じ、宇宙にいる6機中4機がラプラスをハックする…。

 ラプラスの分子構造から…細胞を流れる情報など ありとあらゆる情報を収集する。

 解析出来ない物も山ほどあるが…持ち帰って解析班に頼めば何かしらのデータは得られるだろう…。

 持ち帰れればだが…。

 ラプラスは 自分に起こるすべての可能性を見れるが、知覚できる距離は存在する。

 その安全圏からラプラスにハッキングを行っていたが、ラプラスが解析に気付き、場所を特定…レーザー砲がシロ達に向く。


 星の大気を高熱でプラズマ化させ衛星軌道に向かうレーザーを散開して回避…距離を取る。

 下手に攻撃をしても位置を知られるだけだ…それにだけは知られては行けない。

「解析を停止…地上メンバーは退避せよ」

否定ネガティブ退避不可…ラプラスの足止めに専念する。』

「なら援護する…その内に退避せよ」

否定ネガティブアレが漏洩ろうえいする可能性あり、ここで仕留めるべきだ。』

「……。」

『なぁ兵器のアタシらが、最後にこうして戦えたんだ。

 そろそろ終わらせてくれ…兵器にとって平和は耐えられない。』

「……意見を尊重する。」

 死ぬことも権利だ…特に永遠に生きる私達は目的が無くては生きられない。

「各機は重力レンズを頼む…。」

 ラプラスが身体を動かし回避行動を取る…が、ラプラスの下にいるエレクトロンが重力によって封じ込める。

 重力で円錐えんすい上に空間が曲がり、漏斗じょうごの形になる…。

 防御兵装を最低限にし、処理能力を限界まで使い…ラプラスを止める。

 彼らの金髪の塗料が剥がれ落ち、銀髪の髪が現れ赤く熱せられる。

 あと数十秒止められば、それでいい…。

 身体が焼かれ…防御用のパイロットスーツが焼かれていく…。


 無駄死にだけはさせない…。

 死ぬ事が避けれないなら、最大限の利益に還元かんげんするべきだ。

 シロの後ろにあるのは、恒星…ラプラスを唯一無効化出来る方法…。

 この為に4320時間の遅滞戦闘をして来たのだ…。

 事前に計算し移動させていた恒星の極部分がラプラスの方向に合わさった…。

「すまないな…この星の生物。」

 この星は宇宙船団が見つけた地球型惑星だった…。

 生物も緑も水あり、第2の地球『ネオアース』と呼ばれていたが、ここ48時間の戦闘で生物はすべてプラズマ化した…。

 次の攻撃は星その物を破壊してしまうだろう…いやこの星系か…。

「ガンマレイバースト…照射!!」

 空間ハッキングで恒星を強制的に寿命を終えさせ極超新星となり爆発を誘発させ、その時、極方向にガンマレイバーストを起させる。

 数光年のすべてを焼き尽くすと言われる熱線を 重力レンズで指向性を持たせ、ラプラスに照射…。

 物理限界の熱量を身体に受け、さすがのラプラスも動きが止まった。

 星の大気がプラズマ化して吹き飛ぶが ラプラスは無事だ。

 地面がどんどんプラズマ化して削れていき、ラプラスが、星の中心核に落とされる…。

 ラプラスを抑えていたエレクトロンが消滅した事で、収束が解かれ熱線が広範囲に広がる。

 ガンマレイバーストは数分……。


 シロの隣にいたエレクトロン4機は、2倍になった処理を見事受け止め、重力レンズを制御仕切り、膨大なガンマ線の影響で機能停止した。

 ガンマレイバーストが止み、星が消滅した事でラプラスに動きの制約が無くなった…。

 が、そこに見えるのは光が星に合わせて回転する星…ブラックホールだ。

 その重力は 空間を歪ませ、光ですら飲み込む…。

 中心部の特異点は 確率も時間も無い空間だ。

 つまり確率と時間にいる無数のラプラスと繋がっていようが、ここに入れられれば 閉じ込める事が出来る…。

「んじゃあ…ここで、お別れだな…。」

 ゲマがシロに言う。

「別に分かれる事は無い…事象の地平面でラプラスを落として脱出すればいい。」

「そんなに都合よく行くと思うか?」

「……。」

「仲間を切り捨てられないのが オマエの難点だな…。

 いや…それで良いのかも知れないか…。」

「必ず……対策して、、、今度はもっとスマートに対処出来るようにする。」

 シロは、絞り出すようにそう言った。

「おう、ハルミに『オカエリナサト』してもらうはずだったんだがな…。」

 ゲマは髪を上げ頭部ハッチを開け、ネジ差しからネジを2本抜き取り渡す。

「形見だ…受け取ってくれ。」

「なら私も…。」

 シロも頭部ハッチを開けネジを1本抜き取る。

 無重力の中で2機はネジを交換し、頭部にはめる。

「シロ…絶対に生きて伝えろ。」

「分った。」


 ゲマと、シロが散開する…レーザーが2機のいた位置をかすめる。

 星の核に落とされて、ガンマレイバーストを受け星の崩壊させてもラプラスは生きている。

 シロの銀髪の髪が赤…緑…そして量子光を放ち始める。

「さようなら…ゲマ」

「さよなら…親友」

 シロの周囲の空間が歪み シロは緑色の一筋の線となり消えた。


 ゲマは レーザーを回避しつつ後ろに回り込みラプラスに接触する。

 私のブレインキューブの名前は『かん』1秒間に1澗の浮動小数点演算が出来る。

 このブレインキューブを搭載しているのは、私とシロだけだ。

 1秒間にエレクトロン換算でも太陽系の歴史46億年を68京回繰り返せるだけの計算能力がある。

 永遠が生温いと思う程の加速された時の中でひたすら計算をし…ラプラスと一緒に特異点に向かって一気に亜光速まで加速させる…。

 ラプラスはレーザーを放つが…重力に捕らわれてレーザーが曲がる…。

 更にゲマは解析を再開…。

 永久の思考時間を使って量子通信でシロにデータを送り続ける…。


 ゲマからの通信は途絶えてから半年後…。

 各パーツがボロボロになる物のシロは、如何どうにか近くにいた宇宙船団と合流…。

 現地の量子転送装置を使って エレクトロンの都市『エクスマキナ』に帰還した。


 そして、帰還して1年後…シロは『さとり病』に掛かり1年間引きこもる。

 その後『クオリア』と名前を変更リネームし、砦学園都市の研究員として雇われ、レナ…トヨカズ、そして のちの観測者パートナーとなるナオと出会う。

 そして、それから しばらくして、今度は地球にワームがやってきた…。


 今度は上手くやって見せる…なぁゲマ…。

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