第5話女神の祝福、神王妃の誕生

「陛下。ご相談があるのですが、よろしいでしょうか。聖妃様もお願いしたい。」


「なんだバジル。我が妃も一緒にとは珍しい。」


「少々込み入った案件ですので。」


「良いぞ。我が妃よ。少し席を外そう。」


「はい………陛下…………」


込み入った案件。

それは…………


「ここでいいか?」


「あぁ。」


「内容は?」


「少し協力して欲しい。」


「森の方の話か?」


「まあ、そんなとこだ。俺は、今度結婚することになった。」


「!?誰とですか?」


「レスト公爵家のクリスティン嬢だ。」


神頼みの件についてです。


「ふむ、それで、内密に式を行いたいから協力して欲しいのだな。良かろう。」


「話が早くて助かる。」


「我が妃よ。ヘラに伝えてきてくれ。」


「はい!」


一を聞いて十を知るとはこのことですね(笑)



「ヘラお姉様!」


「どうした、シェレネ。」


「ジャンが、クリスティンと結婚するそうです。内密に式を挙げたいそうなので、協力してくれませんか?」


「良いぞ。わらわはクリスティン嬢なら大歓迎じゃ。勿論他の女神たちも。あやつらはそなたとクリスティン嬢が大好きだからな。」


「ありがとうございます!」


そう、クリスティンとシェレネは天界で大人気。

可愛らしいシェレネと、愛と美の女神アフロディーテ様が美をたっぷり詰め込んだクリスティンは、みんなの注目の的です。


「アフロディーテ様!」


「はあい?シェレネちゃん、どおしたの?」


「クリスティンとジャンが結婚するそうなんです。ウエディングドレス、ありませんか?クリスティンに似合いそうなの。」


「まあ、あの子が?嬉しいわぁ。ちょっと待ってね。私のドレスに女神たちの祝福と私の名前を刺繍するから。」


「いいんですか?ありがとうございます!」


「いいわよ。はい、できた。このヴェールもあげてね。」


「はい!」




「クリスティン!デビュタント、とっても綺麗だったわ!」


「え?聖妃様?」


クリスティン、現在困惑中。

まあ、今まで静かな無意識の女神が、いきなりこんなテンションで話しかけてきたら誰でもそうなるとは思いますが。

でも、クリスティンは一応ジャンと婚約しているので、このテンションでも、行けるようになったみたいですね。


「我が妃よ。あまりはしゃぎすぎぬように気をけよ。」


「でも、今まで素を出せなかったから………」


「わかったわかった。存分に楽しんでおけ。」


シェレネはシェレネで、すごく嬉しそうですね。


今日はクリスティンとジャンの結婚式。

と言っても、秘密のですが。

女神様や神様方は来ますよ?


「クリスティン、はいこれ。アフロディーテ様のドレス。アフロディーテ様が作ってくれたの!いざと言う時はこれを証拠にしたらいいと思うわ。」


「ありがとうございます、聖妃様!」


「クリスティン、その、聖妃様じゃなくて……名前で……呼んで欲しいのだけど………」


「勿論です!シェレネ様!」


「ありがとう!」




「これから、婚儀を執り行う。汝、闇の森の神王ジャン·ジャック·バジル·セルヴィール·セルリオール·ウィルフリーズアは、いかなる時もクリスティンを愛すとわらわに誓うか?」


「はい。」


「汝、レスト公爵家長女クリスティン·レストは、いかなる時もジャンを愛すとわらわに誓うか?」


「はい。」


「ではジャン。」


「わかった。レスト公爵家長女、クリスティン·レスト。闇の森の神王ジャン·ジャック·バジル·セルヴィール·セルリオール·ウィルフリーズアの名において、神王妃敬称ジュリア·ジュネを与える。名を改め、神王妃ジュリア·ジュネ·クリスティン·セルヴィール·スノーオーロラリア·ウィルフリーズアとする。」


「はい!」


こうしてクリスティンは晴れて神々の仲間入りを果たしたのでした。

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