第2話出会い。ジャンの片想い Jean view
俺の名前はジャン。
この森の、王。
だからこそ、常に孤独だ。
人は、入ってこない。
珍しい…青いナイチンゲールを人間に変えてみたこともある。
そのルールーリアは、確かに仲のいい妹のような存在だ。
でも、何かが違う。
俺は、友達が欲しかった………
ある日、森で昼寝をしていると。
「ねぇ、おにいちゃん、どうしたの?こんなところでねてたらおかぜひくよ?」
目を開けた先には大きな瞳が俺を覗き込んでいる。
この国特有で、しかも珍しい豊かな銀髪。
見開かれた大きなアクアマリン色の瞳。
どこかで見たような可愛らしい顔立ち。
(なぜ、人間がここに?)
普通の善人なら入ってこない森に少女がいることに驚く。
「おにいちゃんはなんていうおなまえなの?」
この少女なら仲良くなってくれるのだろうか。
一瞬躊躇ったが、半ば期待して本名を告げる。
「俺の名前は、ジャン·ジャック·セルリオール·ウィルフリーズアだ。」
「わあ、おにいちゃんは、このもりのおうさまなのね!」
なんて物分りのいい少女なのだろうか。
まあ、確かに俺は有名だか。
「えっとね、わたしのなまえは、くりすてぃん·れすとっていうの。」
どこかで見た顔だったのは、公爵家の娘だったからか。
「あのね、くりすてぃん、おにいちゃんのことじゃんってよんでいいかな?」
可愛らしい上目遣いできかれる。
くっ、こんなのに勝てるわけがない。
「ああ、いいぞ。」
「やったあ!」
無邪気な笑顔が良く似合う。
そして…ふと、頭にうかんだ言葉をクリスティンにはなしていた…
「クリスティン、お前のこと、ジュリアって呼んでもいいか?」
「なんで?わたしのおなまえにはじゅりあはいってないよ?」
「あ〜、そのだな。人狼では、大切な人はジュリアって呼ぶことになってるんだ。」
「くりすてぃんはじゃんのたいせつなひとなの?うれしい!」
違う。
大切な人につける名前じゃない。
俺の…妃になる人につける名前なんだ…
でも、あえてそこは伏せておく。
「ねぇじゃん、あしたもきていい?」
「ああ、昼からならいいぞ。ただ…」
「ただ?」
「俺に会ったことを誰にも言わないでくれるか?森に入ったことも。この先もずっと。」
「うん!ぜったいいわない!やくそく!」
「ありがとう、ジュリア。ここに来る時は絶対に一人で来るんだ。誰かに知られたら、俺の命が危ない。」
「じゃんのいのちが…くりすてぃん、絶対に守るね!」
こうして俺は、可愛い可愛い友達が出来たのだった。(というか、婚約者にしたい。妃にしたい。)
そして、将来、妃に出来たらいいのに、と淡い希望を抱いたのだった。
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