46
肘掛を掴むエヴラールの指先が色を抜かれたように白くなった。軟禁生活にも窶れることのないすべらかな頬から、見る見るうちに血の気が失せていく。
なにかお心を落ち着かせるものを、と咄嗟に酒精の瓶を掴んだベルタである。茶に含ませて楽しむための香りの強い酒が、エヴラールの部屋には常備されている。
エヴラールとオリヴィエの話は、ベルタの耳にももちろん届いていた。エリシュカのことが知りたかろうと、部屋に残ることを許してくれた仮の主が、思わぬ知らせに激しく動揺するのを見て、それを放っておけるような彼女ではない。たとえ、目当てにしていた友の話がほとんど聞けずにがっかりしていたとしても、である。
オリヴィエが告げた名をベルタはひとつも知らない。それでも仮の主の様子を見れば、彼らがみなエヴラールと近しかった者であることは明白で、彼はそうした者たちの死に心痛めぬような人間ではない。
さぞおつらいことだろう、とベルタは酒瓶を傾けながら唇を噛んだ。ひとつ部屋に閉じ込められ、己が身ひとつ自由にならぬうちに、親しい者を幾人も亡くしたのだ。
エヴラール殿下と私とでは立場もものの考え方もまるで違うけれど、とベルタは酒を足した茶を器に注ぎ、盆の上に載せる。私には殿下のお気持ちがほんの少しわかるような気がする。
エリシュカをここに残して帰郷の途に就いたとき、彼女が王城を出奔し行方不明になったと聞かされたとき、叛徒が蜂起し東国が荒れると知ったとき、そのいずれのときも、ベルタは裂けた大地の隙間から、その遥か底にあるという地獄へと落ちていくような気がしたものだ。失われる、あるいは失われるかもしれない友を前に、なにもできなかった自分の無力に絶望さえ感じて。
いまの私はエリシュカが生きていることを知って、その地獄から救われたような気持ちでいるけれど、殿下はいままさに苦痛に満ちたその場所へ突き落とされたところなのだ。
絶望に打ちひしがれる彼に、私がしてあげられることはなにもない。
救いの手を差し伸べることはできない。
癒しの風を届けることもできない。
でも、とベルタは思った。でも、もしかしたら、あなたのいる場所にはまだ光があると、たとえ小さくとも
知らせを持ってきた男と受け取った男、ふたりのあいだにある円形の茶卓に、ベルタは新しい茶を並べた。彼女が冷めてしまった古い茶を下げたそのあとで、エヴラールはようやくのことで口を開いた。
「……どのような状況だったのだ?」
はい、と応じるオリヴィエの声は至極平静だった。
それも当然か、とベルタは思う。彼の心はいま、別のことで――彼の真の主である王太子ヴァレリーのことで――いっぱいなのだろう。目の前に座る男にこうして報告に来ているのは、それが彼の役目であるから、ただそれだけだ。オリヴィエにはエヴラールを気遣う理由はない。
当然であるとわかっていても、ベルタの目にはオリヴィエの態度がひどく酷薄なものとして映る。私はいつのまにかずいぶんと、この仮の主に心を傾けてしまったらしい、とふたたび気配を殺して壁際の花となった彼女は、そんなことを思った。
「レミュザどの以下、学問所の四名は殿下の領地内にて、また彼らとは別に囚われていたと考えられるルシエどのは、東の街道沿いの小さな村で、それぞれ殺害されていました」
殺められた時期はかなり違うようです、とオリヴィエは続ける。
「レミュザどのらは死後三月以上経過しているものと見られますが、ルシエどのについてはこのひと月以内のうちに、と考えられています」
遺体はいずれも首を深く抉られていて、手口に大差はありません。下手人は同一か、もしくは別人であったとしても、互いに密接な関係にある者ではないかと思われます。
オリヴィエの口調は必要以上に事務的だった。もしかしたら彼はわざとそうしているのかもしれない、とベルタはふと思った。たしかに王太子第一の男なのであろうが、つらい知らせを運ぶ役目を喜んでいるようには見えない。
「ひと月……」
エヴラールの唇が悔しそうに醜く歪められた。穏やかな――穏やかすぎる――この方も、こんな顔をなさることがあるのだな、とオリヴィエは少しばかり驚いて深緑の双眸を瞠った。自身が窮地に立たされたときにですら、曖昧な笑みを浮かべるばかりでほとんど表情を変えることのなかった王族の鑑のような彼が、こんなふうに感情を露わにするとは。
「五名の遺体はすべて衛士らの手によって回収され、王城へ引き取られる手筈となっております。もし、殿下がお望みであれば、最後の対面の機会も設けられましょう」
ああ、とエヴラールは唇を噛みしめた。もちろん会う、と伝えれば、オリヴィエは、承知いたしました、とこれまたごく事務的に応じた。
「下手人の目星はついているのか」
いいえ、とオリヴィエの回答は素気ないほど短く、エヴラールの表情をますます暗くさせる。そうか、と彼は頷いた。
オリヴィエを責めても仕方がない、とエヴラールにはよくわかっている。アランの忠実な部下であるところの彼が、罪人寸前の私の質問に答えてくれるだけでもよしとしなくてはならない。
考えるのもつらいことだが、フィデール・レミュザらはエヴラールの身柄がクザンらに囚われてすぐに殺害されたのだろう。口封じのためか、あるいは捕らえておく価値も意味もない――人ひとりを捕らえ、その身を保っておくにはそれなりの手間と金がかかる――と考えられたか。いずれにしても彼らの死は私に責のあることだ、とエヴラールは思った。
償えるようなことではない。けれど、もしもこの先、わが身に自由が戻るとしたら、そのときは真っ先に彼らの遺族のもとへと出向き、できうる限りの謝罪をしよう。たとえ許されなくとも、罵られるだけであるとしても――。
そして、オディロン。
オディロン・ルシエ。
幼少のころより自分のそばを片時も離れることのなかった筆頭侍従を想うと、エヴラールの目頭は堪えようもなく熱くなった。
オディロンは優秀な男だった。あるいはこのオリヴィエにも劣らぬほどに。
口うるさく喧しく、しかしいつでもエヴラールの身を――エヴラールのことだけを――心から案じ、気遣ってくれていた。
侍従である己を弁えていた彼は決して目立つことはなかったが、側近であるポール・シャルリエとともによく私を支えてくれた。私なぞに仕えなければ、こんなに早く、こんなふうに無為に命を散らすこともなかったものを――。
悔しい、とエヴラールは奥歯を食いしばる。わが身を利用され、落とされたばかりか、大事な友とかけがえのない側近まで失って、それでも私はなにもできない。囚われ、詰問され、身を守るのに精一杯で――。
生き抜いてやろう、とエヴラールは不意に思った。
天からの啓示のように彼の脳裏に閃いたその決意は、唐突であっただけになおさら深く、鮮やかに彼の胸に刻まれる。
生き抜いてやろう。誰になにを云われることになるとしても、どんな屈辱を受けることになるとしても。
生きて、生き抜いて、生き尽くして、そして見せてやるのだ。志なかばで逝ったレミュザたちに、最後まで私に忠実であったはずのオディロンに、冷たい冬の闇に沈んだ者たちに、この国の輝ける未来を。やがて来るはずの――、春を。
王族の誇りも、国の未来も、死んで守れるものではない。この命ひとつ投じたところで、やがて来る混沌は治まるはずもない。
ベルタのおかげで胸に灯った生への希望は、いまや渇望となってエヴラールを衝き動かさんとする。
「……エヴラール殿下」
エヴラールの顔つきが変わったことに気づいたオリヴィエが、ごく慎重な口ぶりで名を呼んだ。深緑の眼差しが探るように撓められている。なんだ、とエヴラールは答えた。
「なにを、お考えでいらっしゃいますか」
なにも、とそう答えたエヴラールは、しかしすぐに苦い笑いを浮かべた。
「と、云っても信じぬのだろうな、そなたは……」
おそれながら、とオリヴィエは軽く頭を下げた。
「王太子殿下の陰に隠れ、目立たぬお立場におられますが、殿下は侮りがたいお方。そうでなければ、国王陛下や王太子殿下からの信頼に説明がつきません」
「信頼?」
はい、とオリヴィエは頷いた。
「殿下の徽章を掲げた叛乱勢力が南下してくるとの知らせを受けたとき、国王陛下も王太子殿下も、殿下の意を一度として疑われなかった。知らせを持って命がけで駆けてきた使者の忠誠を重んじ、すぐに鎮圧のための軍を組織されましたが、決して殿下を討つというお話はなさらなかった」
「役立たずが不相応な身分を利用されたのだと、そういう話になったのでは?」
からかうようにエヴラールが云えば、真面目なオリヴィエはむっとして、そんなことはございません、と応じた。
「それは殿下もよくご存知のはずです」
否とも応とも答えず、エヴラールは深い吐息とともに肩を落とした。
王族のひとりとして生を享けながら、なんの役にも立たぬ学問にばかり心を傾けていた己を恥じたのは、ほんの少し前のこと。無為の罪にまみれたこの命が役に立つならと覚悟を決めて、ヴァレリーのために、国のために死のうと考えた。
なかば自ら差し出すようにして囚われの身となり、王城へ帰還したあと、思わぬきっかけで未来を望むようになった。それでも、結局は考えたとおりに死ぬのだろうと、それが一番いいのだろうと、そう思っていたのに――。
レミュザらの命とオディロンの命。なかばにして絶たれたいくつもの想いに、いま己は生かされようとしている。
そのようにして生きるのならば、これまでの二の舞は踏まぬ。――無為なる生き方は決してしない。
王族に生まれた自分には、できることがある。せねばならぬこともある。私はそのことを決して忘れない。
オリヴィエ、とエヴラールは云った。
「監察官のセレスタン・ジュヴェを呼べ。いますぐに」
監察官の制服を身に纏った大柄な男が、これから獲物を仕留めに行く猟師のような引き締まった表情で入室してくるのを出迎えたのち、ベルタはオリヴィエとともにエヴラールの部屋を退出した。
派手な音を立てぬように扉を閉めてから振り返れば、オリヴィエはすでにその場を数歩も離れている。ベルタは慌てて彼の背中を追いかけ、ルクリュさま、とはっきりした声で呼びかけた。
デジレの温情によって侍女の地位にあるにすぎぬ自分と、王太子の第一の側近であるオリヴィエとのあいだには、天と地ほども身分の開きがあるということを、ベルタはよく承知している。平素であれば、こちらから声をかけることなど到底許されぬ相手を、それでも呼び止めたのは、たとえ厳しい叱責を受けたとしても知りたいことがあったからだ。
聞こえぬふりをされても仕方ない、その際は、ええい、捨て身で腰にかじりついてでも話を聞かせてもらおうと覚悟を決めていたベルタの予想を裏切って、オリヴィエは、なんだ、と至極あたりまえのように足を止めた。
「あ、あの、エリシュカさまのことを、もう少し……」
オリヴィエの顔にはっきりと不機嫌の色が差した。ベルタは身を竦ませ、しかし怯みはしなかった。
「王太子殿下はまもなくお戻りになるはずだと、先ほどルクリュさまはおっしゃっておられましたが、では、エリシュカさまは……」
「知らん」
吐き捨てるようにオリヴィエは云った。
「俺が気に掛けるのは王太子殿下のことだけだ。愛人のことなど興味も関心もない。第一、殿下とて、そのようなことをわざわざ知らせてきたりしない。そんなこともわからないのか」
まったくもってオリヴィエの云うとおりだとベルタは思った。だが、ここで、はい、さようでございますね、と答えてしまえば、金輪際エリシュカの消息を知ることはできなくなってしまう。たとえ尻を蹴っ飛ばされようとも、侍女を
「図々しいお尋ねだということは百も承知です。お気に召さなければデジレさまにおっしゃって罰をお与えになればいい。でも、私にも私の事情があるのです。エリシュカさまのこと、どんなことでもいいのです、彼女がどうしているか、どうしても……」
オリヴィエが苛立ちとともに吐き出したため息に、ベルタは口を噤んだ。
「おまえ、名は?」
「ベルタ・ジェズニークと」
ジェズニーク、と聞き慣れぬ音を確かめるような調子で復唱したオリヴィエは、神ツ国の者か、とわずかに驚きを含んだ声で問いかけてきた。はい、とベルタは素直に頷く。
「おまえ、王太子妃殿下に、いや、元妃殿下に仕えていた者か」
はい、とベルタはもう一度頷いた。そうか、とオリヴィエは遅ればせながら、記憶の底に沈んでいたベルタのことを思い出したようだった。
「おまえが、バラデュールどのの云っていた神ツ国の娘か」
「さようでございます」
なるほどな、とオリヴィエはもう一度ため息を――今度は苛立ちを含まぬそれを――ついて、どこか同情を含んだ眼差しでベルタを見遣る。
「それで、エリシュカ、エリシュカと……」
ベルタは黙ったままオリヴィエをじっと見つめた。余計なことを云わぬほうがいいことは明らかだった。
「ベルタ、とやら」
はい、とベルタは殊勝な声を出した。
「おまえの境遇についてはバラデュールどのから聞き及んでいる。とんだ災難に巻き込まれたこと、同情を禁じえない。それは……」
エリシュカさまも似たようなものだ、とオリヴィエは苦々しい声で云った。
「王太子殿下のなさることを止める手立ては、俺にはない。言葉でお諫めすることはできても、無理強いはできぬからな。致し方のないことだ」
はい、とベルタはまたもや慎重に頷いた。
「殿下は心底からエリシュカさまを望んでおられる。はじめからいままで、ずっと変わらずに、な。俺はそのことを、殿下の、ヴァレリー・アランさまというひとりの男性のお心のためには喜ばしいことだと思う」
だが、とオリヴィエは深緑の瞳に思慮深い色を乗せた。
「それが王太子としての殿下にとっても同じことが云えるかというと、そうではない。同時にエリシュカさまにとっても、そうではないと俺は思う」
「エリシュカは王太子殿下にふさわしくないと?」
「ふさわしくない」
オリヴィエは言葉を濁さず、はっきりと云った。ベルタは顔を強張らせたものの、反論する言葉は持ち合わせていなかった。
「エリシュカさまのお心についてはさておき、そのご身分はおまえも知ってのとおり、政治的には非常に弱いものだ。殿下は違う考えをお持ちのようだが、彼女は殿下のお相手としてはいささか、どころか、おおいに問題がある」
誰かと縁を結ぶというごく個人的なことにですら、政治を持ち込まずにはいられない王族のことだ。本人の意思がどうあれ、また側近らの本意がどうあれ、ふさわしくない相手というのは存在する。
それだけではない、とオリヴィエはますます苦い顔をする。
「エリシュカさまは正式な身分を持たぬ寵姫でありながら、城から出奔されるという不祥事を起こされた。殿下は彼女を連れてお戻りになることを望むだろうが、周囲はそれを望んではいない。決して口には出さぬが」
殿下もそのことはよくよくご承知のはずだ、とオリヴィエは云った。
「それゆえ、エリシュカさまをどうなさるおつもりでいらっしゃるのか、先の書状ではいっさい触れられていなかった。彼女の動向を匂わせる表現すらない。こちらから尋ねることもできない。たとえ、どれほど気になっていたとしても、だ」
自分やバラデュールどの、マルケどのだけでなく、王太子殿下の父である国王陛下や大臣らもまた、殿下が最愛の女性をどのように遇するつもりでいるのか、非常に気にしているはずだ、とオリヴィエは思う。ヴァレリーがエリシュカに入れ込んでいることは、周知の事実であったからだ。
おまけに俺は殿下の本意を聞かされている。そう容易には彼女のことを諦めないだろう、と思うと同時に、しかし、故国へと辿り着いたエリシュカが素直に東国へ戻るとも思えない。そもそもあの神ツ国が、賤民であるところの彼女を国外へ出すとは考え難い。
「だから、俺はおまえの問いに答える言葉を持ち合わせていないのだ。わかるか」
それは事実なのだろう、とベルタは思った。この誠実そうな王太子の側近が、嘘をついているとは思えない。隠したって仕方のないことだし、隠す意味だってない。だが、私だってそう簡単に諦めるわけにはいかないのだ。
お話はよくわかりました、とベルタは答えた。公式の書簡に私的なことを記さぬのは、あたりまえといえばあたりまえのことです。愚かな質問にお答えいただいたことを感謝いたします。
「ですが、ルクリュさまはどう思われますか」
「なんだと?」
「王太子殿下はおひとりでご帰国なさると思われますか」
オリヴィエはしばし返答に迷い、その迷いを隠すために、またもや苛立ちの仮面をひっかぶった。
「おまえはなぜ、そうもエリシュカさまにこだわるのだ」
「大切な友人でございますので」
友人、とオリヴィエは首を傾げた。
「あの方にそうした存在があるとはな」
「ルクリュさまがどう思われようとも、私はエリシュカの友人です。行方知れずとなった身をずっと案じておりました。無事でいるとわかって、しかも故国に帰り着けたとわかって、心から安堵しているのです。これからのことが気にかかるのも道理とは思われませんか」
「安堵?」
彼の国へ戻れば、エリシュカは、王太子の愛人どころか、使い捨ての労働力として酷使される身なのではなかったか。なのに安堵とは、いかなる意味か――。
自分の言葉の意味を探ろうとするオリヴィエに、ベルタはやや硬いながらも微笑みかけてみせる。
「故郷には家族がいます。エリシュカにとって、たったひとつのよりどころである家族は、彼女を守り、慈しんでくれる存在です。どれほど過酷な境遇にあったとしても、彼らとともにあればエリシュカの心は穏やかであれる。あるいは色欲にまみれた王太子殿下のそばにあるよりも、ずっと」
「無礼な……!」
オリヴィエの口から咄嗟に飛び出したのは、主の純情と誠実を疑う侍女を叱責する言葉であった。
「殿下は、そのようにいい加減な気持ちで、エリシュカどのと向きあわれていたのではない。どんな腹があろうとなかろうと、そのお心に偽りはない。誠意を尽くされ、ともに戻ろうと努められるはずだ」
それは、とベルタは深々と腰を折った。感情を刺激され、思わず本心を吐露した男の悔しげな顔を見ないようにしたのは、せめても彼の矜持を傷つけないようにするためだった。
「大変失礼を申し上げました」
エリシュカは東国へ戻ってくることになるに違いない、とベルタはこのとき、奇妙なまでに強い確信を抱いた。
王太子をよく知るオリヴィエがこのように云うのだ。多少強引な手を使っても、王太子ヴァレリー・アランはエリシュカを連れて戻ろうとするだろう。
エリシュカにしても、いったいどのような心境の変化があったのかはわからないが、城から逃げ出すほどに嫌っていた相手に手を差し伸べたというのだ。望んだことではないにしろ、一度は深い縁で結ばれた誰かの願いを、救った命を無碍にするようなことはしないだろう。
きっとふたりは手を携えて、この城に戻ってくる。
ベルタは腹の前で組んだ指先に強い力をこめた。もしかしたら、もう一度エリシュカに、生涯二度と会えないかもしれないと覚悟していた大事な友に、ふたたびまみえることができるかもしれない。
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