17

 恐怖と困惑の一夜が明け、エリシュカはオルジシュカと名乗る深紅の髪と瞳を持つ女とともに街道を進んでいた。

 心の底からの、とは云えないまでも、それなりの信頼を寄せていたエルゼオやシルヴェリオらに裏切られ続けていたことに対する衝撃は大きく、エリシュカはいまだに混乱から立ち直れないでいる。

 エルゼオに襲われ、すんでのところをオルジシュカに救われたエリシュカは、命も貞操も金も失うことなく無事に朝を迎えることができた。だが、そのぶん心が受けた痛手は大きく、これから先の旅路を考えると暗澹たる思いに囚われてしまう。――こんなことで、この先無事に故郷までの道のりを行くことができるのだろうか。

 テネブラエの傍らで蹲り、ほとんど一睡もできないまま迎えた朝陽はひどく目に染みるものだった。

 どんな夜にも朝は来るんだ、とエリシュカは思った。

 これまでだってさんざんにひどい目に遭わされてきたというのに、とエリシュカは思う。殴られ、蹴られ、目を瞑ればこのまま死んでしまうと思うほどに衰弱したときも、これほど弱気にはならなかった。ヴァレリーに一晩中蹂躙され、一睡もできぬままに迎えた夜明けも、これほど悲しい気持ちにはならなかった。

 いったいなんだって今回のことばかりが、こんなにも心に堪えるのだろう。

 もしも誰かが、そんなエリシュカの疑問を耳にすることがあったなら、きっとこう答えていたことだろう。

 ――それは、おまえがはじめて自ら選び取り、そして犯した失敗だからだ。

 賤民として虐げられることが日常であったエリシュカは、なにもその身分を選んで生まれてきたわけではない。東国王太子に愛され、情人の立場に押し込められたこともまたしかりである。

 逆らうことはできない、選ぶことはできないと、これまでただ流されて生きることしかできなかったエリシュカは、東国王城を飛び出し旅路を歩むことで、はじめて自らの意志で進む道を選ぶことができるようになった。道行みちゆきの果てを思い定めての旅であるとはいえ、その自由と責任は、これまでよりも格段に大きなものとなったのだ。

 エリシュカ自身にその気がなくとも、彼女が手にしている自由は常に彼女を試し続ける。自由であり続けるための才覚と自覚と運があるかどうか、エリシュカは己の知らぬところで試練に挑み続けているのである。

 当のエリシュカはそのことに気づいてなどいない。家族に会いたいと、そこにあるのはただの望みではなく、会わなければならない、という義務感でもある。エリシュカにとってこの旅は、これまでと同じように己が意思ではなく、誰かに定められたものであるのと同じだった。

 己で決めたことでもないようななにかに、人が傷つくことはない。与えられた境遇を恨みはするかもしれないが、それだけで心を損なうことはない。

 これまでのエリシュカがどれほど虐げられ、蔑まれても、心までをも明け渡すことなく生きてこられたのはそのためである。

 だが、今回のことは違う。

 エルゼオらと旅をともにすることは――たとえ仕組まれたことであったとはいえ――、エリシュカが自身で選択したことである。結果、騙され、売り飛ばされそうになったことは誰が悪いわけでもない。ほかでもない、エリシュカ自身の落ち度なのだ。

 エリシュカはそうした失敗を経験したことがなかった。

 これまでに一度として己が手で人生を定めたことがないのであるから当然ではあるが、そんなことは誰ひとりとして配慮してはくれない。エルゼオには嗤われ、シルヴェリオには嫌悪を向けられ、オルジシュカには憐れまれた。

 そのすべてがエリシュカの心を苛み、損なっている。

 つまり、これ以上ないほど落ち込んだままであるエリシュカは、テネブラエの背に揺られながら、羞恥と後悔とで顔も上げられないような有様だった。

「エリィ」

 エリシュカの様子を見かねたオルジシュカが、騎乗するイグニスの背から呼びかけてくる。いつまでも引きずってたってしょうがないだろう、と彼女は云った。

 オルジシュカはシルヴェリオの古い知り合いである。

 つかず離れずのふたりの関係は、もはや腐れ縁と云ってもよいようなものだ。おまけに、ともに旅に生きることの多い身の上である。道行の途上で顔を合わせるようなことがあれば、ときに助け合い、ときに見て見ぬふりをしながら付き合ってきた。

 シルヴェリオの振る舞いのすべてを肯定することはできないが、一方でなにを責めることもできない、とオルジシュカは思っている。彼の非道も非情も、そのおおよそは己にも備わっているものだとわかっているからだ。そして反対に、オルジシュカの親切も温情も、シルヴェリオに通ずるところでもある。

 世間を知らない娘ひとりを囮に使うような非道は、しかしシルヴェリオやオルジシュカにしてみれば日常茶飯事である。騙されたその娘の自業自得だろう、という男の言葉も彼女には十分に納得できるものである。

 それにもかかわらず今回に限ってエリシュカを助け、あまつさえこうして事後の面倒までみようとしているのは、ひとえにオルジシュカ自身の抱える理由によるものであった。

 これまで他者に対し、とくに冷たくもないが、かといって親切にするでもなかったオルジシュカが、エリシュカに対していらぬお節介を発揮しようとしていることを、シルヴェリオはおもしろくは思わなかったらしい。そんな愚かな娘にかまうと、あなたが痛い目を見ますよ、とあの綺麗な顔をおかしな具合に歪めて吐き捨てた。

 いいんだよ、とオルジシュカは云った。どんな目に遭ったって、それがあたしの選んだ道だからね。

 シルヴェリオには明かさなかったことだが、オルジシュカにはエリシュカを助けたいと思う理由があった。それは、シルヴェリオにはなんのかかわりもないことで、もっと云えばエリシュカにさえなんのかかわりもないことだった。だからオルジシュカはその理由を誰にも話そうとは思わなかったし、シルヴェリオにいくら不審がられてもなにも答えようとしなかったのである。

「なあ、エリィ」

 いつまでもくよくよしていたってしょうがないじゃないか、とオルジシュカは云った。

 エリシュカの本名を彼女はすでに知っていたけれど、王城から追われる身である以上は迂闊に名乗らないほうが今後のためだろうね、と云って、オルジシュカはエリシュカのことをエリィと呼び続けていた。

 はい、とエリシュカは力なく応じた。

 この紅い髪と瞳をした美女の親切が、果たして純粋なものなのかそうでないのか、いまのエリシュカには到底計りきれない。あんなに手酷く騙されたあとだというのに、ひとりになることが怖くて、彼女のそばを離れることのできないわたしはなんと情けないことか、とエリシュカは思った。


 朝陽が昇ってしばらくしてからも、野営した場所を動こうとしないエリシュカに、一緒に来るかい、と声をかけたのはオルジシュカである。自分がいったいどうしたいのかもわからない、とエリシュカは力なく首を横に振った。

 旅に出て何日になる、とオルジシュカは尋ねた。十日ほどになります、とエリシュカは答えた。そろそろ疲れが出てくる頃だよ、とオルジシュカはエリシュカの瞳を覗き込んだ。ずっと緊張していたんだ、それがあたりまえさ。

 あたしはそろそろ行くよ、とオルジシュカはそこで軽く肩を竦めた。急ぐ旅でもないんだけど、そうそうのんびりもしていられない。約束もあるしね。

 そう云われた途端、エリシュカの心に焦燥のような恐怖のような、なんとも云いようのない感情がこみ上げてきた。――厭。置いて行かないで。ひとりにしないで。

 危ういところを救ってもらったとはいえ、まったく見ず知らずの存在であるオルジシュカにそんなふうに縋りつくことが間違っていることくらい、エリシュカにだってわかっている。

 しかし、女としてどうにも拭い去ることのできない恐怖に震え続けた一夜が明けたいま、いずれ必ずやって来る夜を思うと、そばにテネブラエがいてくれてさえどうにもならない臆病に襲われる。――怖くて、怖くて、たまらない。

 そんなエリシュカの様子をじっと見つめていたオルジシュカは、そんな顔をするなよ、と困ったように笑った。放っておけなくなるじゃないか。

 エリシュカは、すみません、と俯いた。謝ることはないけどね、とオルジシュカは軽いため息をついて、エリシュカの旋毛をじっと見つめた。

 その名から察することができるように、オルジシュカとエリシュカは同郷の出である。互いに名乗り合ったときから、ふたりはともにそれを理解していたが、言葉にすることはなかった。賤民であったエリシュカは同郷の人間に対する警戒心を拭うことができなかったから――もしもこの人が、賤民を虐げることを当然とする心根の持ち主であったら――だし、オルジシュカはオルジシュカで、探られたくない過去を隠していたからである。

 エリシュカだけではなくオルジシュカにとっても、故郷から遠く離れた異国の地で偶然に知り合った同郷の者への想いは、それなりの郷愁を呼び起こすものであったのだろう。エリシュカの縋るような眼差しを、オルジシュカは振り払うことができなかった。

 一緒に来るかい。

 普段だったら決して口にしないようなその言葉を、気づけばエリシュカに投げかけていた。

 わずかな躊躇いののちにエリシュカはひとつ頷いて、そしてふたりは旅の道連れとなったのである。


 オルジシュカに連れられたエリシュカは、いま進んでいる道がそれまでの街道から逸れていることに気づいていた。いったいどこへ向かっているのだろう、とエリシュカは思った。

「云いたいことがあるのなら、できるだけ思ったときに口にしたほうがいい」

 エリシュカに背を見せ、一馬身ほども先行していたオルジシュカが不意に振り返ってそう云ったので、エリシュカは飛び上がらんばかりに驚いた。実際、手にしていた手綱を強く引きすぎてしまい、テネブラエの不興を買ってしまう。

 ごめんね、と青毛の首筋を撫でて彼の機嫌をとってから、エリシュカは、あの、とオルジシュカに呼びかけた。

「どうして、そんなことを……?」

 どうしてって、とオルジシュカは鮮やかに笑ってみせた。

「そんなふうに、いかにも云いたいことがありますって気配を垂れ流しにしておいて、よく云うね」

「垂れ流し……」

 素直なのは悪いことじゃないけどさ、とオルジシュカは云った。

「あんた見てると、なに考えてるか手に取るようにわかる。不安だったり、喜んでいたり、不満があったり、ほかにもいろいろ」

 そんなことを云われたのははじめてだ、とエリシュカは思った。口数の少ないエリシュカは、いつでもどこでも、なにを考えているかわからない、と云われ続けてきた。故郷の神ツ国の厩舎にいたときも、東国王城にいたときも。

「人は言葉よりも表情や仕草で偽りを述べるものだ。あんたはそのことを知らなすぎる」

 そんなふうに怯えた目であたしを見るなよ、とオルジシュカは云った。

「怯えるやつはつけ込まれる。エルゼオやらいう悪党に目をつけられたのも、もとはと云えばそのせいだろうね」

 もしもこの場にシルヴェリオがいたならば、オルジシュカの云うとおりだったのですよ、と嘲り笑ったことだろう。

 ジーノに導かれ、連れて行かれた食堂で、エリシュカをひとめ見たエルゼオが、彼女を次の獲物と狙い定めたのは、まさにその世慣れぬ怯えた態度こそが決め手だった。見た目のよさや身に纏うものの質だけで判断したわけではないのだ。

 だが、エリシュカにとっての人とは――家族を除いて――常におそろしいものなのである。どうあっても怖いものは怖い、と彼女は思う。怯えるな、というのは無理な相談だ。

「怖くたっていいんだよ。むしろ、怖いものが多いやつのほうが生き残る確率は高い。だけど、怖がっていることを周りに知られないほうがいい、と云っているんだよ」

 どう云ったらいいかなあ、とオルジシュカは云った。まるで、エリシュカが自分の言葉を理解できずにいることを知っているかのような物云いだった。

 たしかにエリシュカには、オルジシュカの云っていることが理解できていない。ただひたすらに主に従うことだけを己の生き方と心得てきたエリシュカは、主の支配を外れた場所では、自分の身を守るすべさえろくに知らない。云われた言葉にただ素直に従うことで己を守ってきた彼女は、人の思惑を探ったり己の身心を律したりすることとは無縁だったのだ。

 エリシュカにとって、主の心を知るなどおそれおおいことであったし、己の心など、あってもなくてもどうでもいいものだった。――主の心がどうあれ、己の思いがどうあれ、結局は主の言葉に従わなくてはならないのだから。

 人に怯えるばかりのエリシュカは、人の思惑にひどく鈍感だった。己に向けられる悪意にも善意にも関心がなかったのだから当然だ。

 そうだなあ、とオルジシュカはのんびりとした口調で続けた。エリシュカに向けられていた眼差しはすでに前方へと戻されている。こう云えばいいのかな、と彼女は云った。

「なにかを怖いと思う気持ちは、とても大切なものだ。エリィは、自分の大切なものを誰にでも簡単に渡したりするかい?」

 いいえ、とエリシュカは答えた。むしろ奪われたり壊されたりしないよう、誰にも触らせない。

「それと同じだ」

「……同じ」

「人に簡単に見せるなってこと」

 エリシュカは眉根を寄せて、人には見せない、と呟いた。

「顔に出ちゃうのは、ある程度訓練するしかないね。怖いものほどまっすぐに見るようにするだけでもだいぶ違うとは思うけど、すぐにはね」

 まあさ、とオルジシュカはどこか投げ遣りな調子になって云った。

「誰かに縋るような目つきをやめるだけでもいいと思うよ」

 ほら、いまのその目、とオルジシュカが振り返った。エリシュカは目を見開いて唇を引き結ぶ。

「誰にでもそんな目つきを向けていたら、あんたはまたすぐに騙されて売り飛ばされる。待っているのは女の地獄だよ」

「地獄……」

 そう、とオルジシュカは頷き、しかしそれ以上のことはなにも云わなかった。

 テネブラエの背に跨ったまま、エリシュカは俯いた。――オルジシュカの云うことは、難しくてよくわからない。

 誰にでも、ということは、誰にも、とは違う。

 誰にも見せるな、と云うのなら話はそう難しくない。黙って耐えることには慣れている。けれど、誰にでも、と云うからには、見せてもいい誰かもいる、ということだ。

 よくわからない、とエリシュカは思った。見せてもいい誰かとは、誰だ。エルゼオたちは、その、誰か、ではなかったということなのか。

 そうなんだろうな、とエリシュカは思った。彼らには自分が抱えている怯えを悟られてはならなかったのだ。

 だけど、とエリシュカは唇を噛む。見せてもいい誰かとそうではない誰かとを、いったいどうやって見分ければいいのだろう。

 エリシュカの世界はとても狭い。自分と家族のほかはすべて、己の上に立つ者である。唯一の友と呼んでもよいベルタ・ジェズニークのことでさえ、自分より上にある存在と考えていたエリシュカは、だからベルタに対しても自分が思ったことのなにもかもを話して聞かせたことはない。ほかの誰よりも親しくはあっても、家族と比べれば簡単に手放せるほどの存在でしかない。――ベルタが聞けば、泣き喚いて猛抗議するに違いないが。

 厩舎の仲間たちやソフィやジスランとは、仕事を通じての付き合いがもっぱらで、そこに多少の情があったとしても、それはエリシュカの心や身体を脅かすようなものにはなりえなかった。

 ヴァレリーやモルガーヌらはもっと悪い。エリシュカにとっての彼らはシュテファーニアや教主ら、神ツ国の人々と同じである。どんな理不尽を云われようとも必ず従わなくてはならない主であり、同時に決して心を許してはならない相手。

 しかし、エルゼオやシルヴェリオは、そのどちらにもあてはまらない存在だった。厩舎の仲間たちを思い起こさせるような身近な雰囲気を漂わせながらも、どこかにきっぱりとした線が引かれていたようにも思う。

 エリシュカもまたそのつもりでいた。

 そういう意味ではエリシュカは、エルゼオらに心を許してなどいなかったのだ。彼らの人となりを見極めることはできていなかったかもしれないが、心を許していない以上、オルジシュカの云うように思ったことを垂れ流しになどしていなかったように思う。

「わからないかい?」

 不意にオルジシュカが云った。エリシュカは無言で彼女の言葉を肯定した。

「考えてもわかるようにはならないさ。あんたは、ある意味では生まれたばかりの赤ん坊みたいなもんなんだろうからね。そのうち厭でもわかるときがくる。心配しなさんな」

 生まれたばかりの赤ん坊。わたしはたしかにものを知らないけれど、そんなふうに云われるほどにひどいのだろうか、とエリシュカは不安に思った。知り合ったばかりのオルジシュカにこんなことを云われているようでは、これから先のひとり旅が思いやられる。

「エルゼオやシルヴェリオを許せとは云わないよ。だけど、あいつらの云うことにも一理はある。そう考えて、あまり悩みすぎないことだね。とりあえずは無事だったわけだし、勉強になったと思えばいいのさ」

 エリシュカは、エルゼオの下卑て身勝手な物云いと、気風のよい明るい笑い声を同時に思い出した。シルヴェリオのやわらかく穏やかな言葉と、冷たい悪意に満ちた嗤い、それから、ジーノの無邪気に快活な親切と、ずる賢い臆病も。

 彼らの見せた、相反するふたつの顔は、どちらが真実ということもなく偽りということもない。騙された、といまのエリシュカはそう思って悔しくてならないけれど、心のどこかでは、彼らと過ごした短い旅の日々を楽しいものだったと記憶してもいるのだ。

 善と悪とは、ひとりの人の中に容易く共存し、見る者の立場が変われば簡単にひっくり返る。

 これまでのエリシュカは、そんな簡単なことすら知らずにいた。

「オルジシュカ」

「なんだい?」

「シルヴェリオとは古くからのお知り合いなんですよね?」

 オルジシュカは驚いたような顔で振り返った。エリシュカの真摯な眼差しと出会うと、なにかおもしろいものでも見つけたような表情になって、まあね、と答えた。

「シルヴェリオはオルジシュカから見てどんな人なんでしょう?」

 どんな、ね、とオルジシュカは呟いた。内心ではエリシュカの冷静な賢さ――自分を騙し、利用しようとした男について知りたいと考える怜悧さ――に驚いていたのだが、それを口にすることはなかった。

「それを聞いてどうするんだい?」

 オルジシュカに問いかけられ、エリシュカは己の質問の無意味さに気づかされた。いまさらシルヴェリオについて知ってどうなるというのだろう。もう二度と会うことのないはずの男であるというのに。

「あ、いえ、その……」

「別に責めてるんじゃない。ただ、誰かについて知りたいと思うとき、他人の目をあてにするのは間違っているよ。どんなことも、どんな相手も自分で見極めなくては、ね」

 そうやってひとつひとつ学んでいくしかない、とオルジシュカは云った。

「もどかしくて焦れったくて、そんな自分に苛々してもさ、人は自分の歩幅でしか歩けないものだからさ」

 きっとオルジシュカの目に映るシルヴェリオは、わたしが知る彼とはまったくの別人なのだろう、とエリシュカは思った。

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