短歌集
入間しゅか
春
さらさらと
春かたまけて
呼びあえど
泣きたい夜は
たまにあふれる
琴線に
触れた指先
しなやかに
季節奏でる
遊ぶ糸かな
春暁に
泪落とした
ひとしずく
無垢で無力な
きみはいい子だ
啓蟄を
いまかいまかと
待ちわびた
虫が飛び交う
あさが来たのだ
ぼんやり眺め見る
テレビの音
蜥蜴穴を出づ
庭先に
撒いた朝顔
水をやる
これまでのこと
これからのこと
我一人
春三日月に
またがって
朝を探しに
夜を泳ごう
道端に
春日がふれた
花が咲く
名は知らずとも
きみはかわいい
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