後の領主、ダンジョンを探す。
昼飯を食べながら、俺たちは今後の役割を決めた。
「うま! これうま!」
モニカは必死に食ってるのでまともに話を聞いてないけど、ビアンカが答えてくれるだろうからまあ問題ない。
「精霊石なんだけどどこに置いてきたんだ?」
モニカが全く聞いてないので予想通りビアンカが代わりに答えてくれた。
「魔の森の奥に大きな川が流れていて、その河原に接する森に置いてきました」
ビアンカが地図を指さすと、ラネットさんが納得する。
「理想の設置場所ですね」
盗られたりしないか心配だったけど、アレンさんによると問題はないとのこと。
「あれだけ大きな精霊石を川で運ぶのは無理だし、ましてや道のない森を運ぶのも無理だからね。それに魔物は近づけない」
「じゃあ精霊石はそのままということで、他の作業をしましょう」
街の建設は5年の猶予がある。
それよりも差し迫った課題の方をクリアしないと。
課題未クリアでバルトさんから見限られて師弟関係を切られたら困る。
まずはレベルを上げるために上限をあげないとな。
レベルが60に達している俺の嫁はまだ居ない。
ラネットさんとメイミーの上限は一度上げたきりだから上限いっぱいにカンストしてるだろうな。
モニカとビアンカに至っては一度もレベル上限を調べていないし。
あとでみんなのレベル上限をちゃんと調べておこう。
俺の経験値はみんなのレベル上限解放のために潜在として貯めることにした。
「俺たちはこれからの一か月をレベルアップに努めます」
「それがいいだろうね」
アレンさんも賛成してくれている。
「アレンさんとボダニカルさんには、精霊塔の建設を含む新都市の設計と費用の算出をお願いしたいと思います」
「事務仕事は僕と妻が得意としていることだからね。任せなさい」
初対面の印象はバカ領主だったのに意外と頼りになる感じ。
剣技関係は全くダメだけど事務関係は得意なんだろうな。
智将とか文才と呼ばれるタイプだ。
ということで、新領地の設計はアレンさんに任せて俺たちはダンジョンに潜ることになったんだが……。
「敵がいないぞ?」
「ごしゅじんさま、ネズミ一匹いません。これはごしゅじんさまのあまりの強さに
あんなにモンスターで溢れかえっていたダンジョンに敵が一匹もいないだと?
どうなってるんだ?
ラネットさんは原因かわかっているみたい。
「敵をせん滅したから、まだ復活していないんだろう。ダンジョンによって敵の復活までの時間が異なるけど、このクラスのダンジョンだと少なくとも一週間ぐらいかかると思う」
一週間か。
結構長い時間使えないもんなんだな。
別の方法で経験値を稼ぐ方法を考えないと、期限までにみんなのランクをSランク相当まで上げるのは厳しい。
仕方ないのでボスを倒して帰ることにした。
ボスはなんというか……かわいそうだった。
俺の背丈の倍ぐらいある巨大な鎌を構えたスケルトン。
見た目はものすごく強そう。
多分Cランクの冒険者が束になって掛かっても歯が立たないだろう。
でも実際に戦ってみると弱い、弱すぎる!
モニカ一人で倒せるような感じなのに、5人がかりで襲い掛かる。
鎌も振れず、魔法も使う暇もなく逃げ惑ううちにスケルトンは沈んでいった。
報酬はボス前部屋でマナポーション、ボスドロップでマナポーション。
合計10個のマナポーション祭りだ。
どっちもハズレだったけど減ったマナポーションの補充が出来たのは嬉しい。
出来ればバルトさんが使っていたダンジョンのボス前部屋に飛ぶレアアイテムが欲しいところなんだけど、そう簡単には手に入らないだろうな。
今日は全くレベルを上げることが出来なかった。
魔の森でのフィールド狩りに変更しようかと思ったんだけど、この魔の森のダンジョンのことだ。
きっとダンジョンはいくつもあるはず。
でも聞いてみてもラネットさんもボダニカルさんも他には知らないという
元々、人が入れるような難易度の森じゃないしな。
「冒険者なら知ってるかもしれないわね」
まだ日没には時間があったので、ラネットさんのアドバイスで冒険者ギルドに向かうことになった。
メンバーはモニカとなぜかついてきたメイミー。
メイミーは俺にべったりと寄り添って離れる気がなさそうなので細かいことは気にしない。
*
すぐにクレソンの冒険者ギルドについた。
受付嬢のバイオレットさんが対応してくれた。
「魔の森こと『スターカー・ワルド』のダンジョンですか?」
バイオレットさんは部屋の奥に行くと資料を持ってきた。
結構な厚みのファイルだ。
「入口の発見報告はこの数十年で200ちょっと上がっていますね」
魔の森に他のダンジョンがあるとは薄々感じていたんだけど、そんなにあるのか。
正直びっくりだよ。
「未発見分を含むと300は超えるとの研究結果が出ているんですが、どれも未調査で正確な位置と難易度がわらない状況です」
「一つも難易度がわからないんですか?」
「ええ、あの森自体がダンジョンレベルの敵の強さなでダンジョンともなるとさらに強敵が棲んでいるので誰も調査が出来ないんですよ」
あることはわかったけど、正確な位置はわからず。
あの広大な魔の森の中からダンジョンを探し出さないといけないのか。
俺たちは肩を落として帰ろうとする。
ギルドの入り口で知り合いとばったり出会った。
モニカ探しでお世話になったベランさんだ。
依頼の達成報告に来たとのこと。
魔の森に出入りしているそうなのでダンジョンの位置を知っているかもしれない。
俺は思い切って聞いてみた。
「ダンジョンならもちろん知っているぞ。あんな恐ろしいとこに入ったことはないけどな。あははは!」
「そのダンジョンの場所を覚えてますか?」
「もちろん覚えているけど……お前たち魔の森のダンジョンに潜る気なのか?」
「ええ、一つだけダンジョンを知っていたんですが、敵を狩りつくしてレベル上げが出来ないので新しいダンジョンを探しているのです」
「魔の森のダンジョンを枯らしただと!?」
ダンジョンのモンスターをせん滅したと聞いてベランさんはあきれ顔。
そんなのSランク冒険者のパーティーでもやらないと開いた口が塞がらない。
「案内してもらえませんか?」
「まかせてくれ!」
俺はギルドに指名依頼の発行を頼んだ。
「準備してくるから30分だけ待ってくれ」
ベランさんは足早にギルドから出て行った。
それと入れ替わりに新たなる知り合いが……。
ルナータ。
ビアンカを奪ったと俺を敵視している厄介な奴だ。
予想通り俺に突っかかってきた。
「勝負よ! ビアンカを返しなさい!」
ルナータは俺に杖を突き付け宣戦布告をした!
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