第84話 初恋の人よりも大好きだった人
新見洋子……
彼女は中学二年の途中で『卓球部』を退部している。
その理由はいたって単純なもので、まず入部したキッカケはあの村瀬が好きだったからだ。そして二年生になった頃に村瀬に告白したが、村瀬は『今は卓球に専念したいから』という理由であっさり振ってしまったのだ。
ショックを受けた新見は村瀬と同じ部活にいるのが辛くなり『卓球部』を辞めてしまったのである。
お互いに身長が高く俺からすればお似合いの『カップル』だと思うのだが、恋愛に全然興味の無かった村瀬にとっては『告白』されること事態が煩わしかったのだろう。
しかし村瀬は本当に勿体ないことをしたと俺は思う。
新見は結構美人だし、気立ても良くて将来『良いお嫁さんになるタイプ』だからなぁ……
まぁ、こういった話を知ったのは『前の世界』での同窓会で他の女子から聞いて初めて知ったんだけどな。寿と山田の件もそうだが、当時の俺は本当に恋愛に疎かったのだ。
いずれにしても俺はその新見に『つねちゃん』の事が今も好きだということを白状してしまった……
これからどうなるんだろうか……?
色んな場面で俺は新見に『つねちゃん』のことでいじられるのだろうか?
考えれば考えるほど不安が募って来る。
それから一週間経ったが新見とは『同じ中学』という事で協力し合い、色んな話をしているが新見から『つねちゃん』の事に関しては何も触れて来ない。
俺に気を遣っているのか、それとも自分の事で精一杯で他の人の事など考えている余裕が無いのか……
俺にとっては有難い。
それに上野達からも『つねちゃん』について言われる事はほぼ無くなり、平和な一週間となっていた。
なんか『つねちゃん』の声が聞きたくなってきたなぁ……
今夜あたり電話しようかな……
あとは、そろそろ『あいつ等二人』と友達になっておかないといけないな……
『あいつ等』というのは『
何故、この二人と俺が友達にならないといけないのかというと、それは俺が『あの遊園地』でアルバイトをする為である。
『前の世界』での話だが……
ある日、俺達三人が教室で『何か良いアルバイトはないものか』といった話をしている時に女子達が声をかけてきた。
声をかけてきたのは同じクラスで女子のリーダー的存在になりつつあった『
この三人は同じ中学出身で、それまで対して話もしたことが無かったので一体何事かと少し驚いたが話を聞いてみると『遊園地(エキサイトランド)でアルバイトをしてみないか?』という事であった。
先日、彼女達がその遊園地に遊びに行った際、とある乗り物で働いていたスタッフに『君達、うちでバイトをする気ない?』と声をかけられたそうだ。
ちなみに彼女達に声をかけたスタッフというのがパンチパーマでサングラスの根津さんと若手の三田さんだったのだ。
そして彼等が言うにはこの時期に男性三名、女性三名、合計六名のアルバイトスタッフを増員して『夏休み』の営業時間が長くなる時期までに教育をしたいということだった。そして白羽の矢が当たったのが俺達三人ということらしい。
俺達はアルバイトを探していた矢先だったので喜んでその話に飛びついた。
しかしアルバイトの話は事実だが、俺達を誘ったのにはもう一つ理由が彼女達にあることを知ったのはもう少し後になる。
大塚は入学早々に羽田に一目ぼれをしたらしいのだ。
それで何とか羽田に近づこうとしたが、なかなかうまくいかず悩んでいたが、今回のアルバイト話をキッカケにして仲良くなろうとしていたのだ。
それに北川も南川のことが少し気になっていたそうである。
もし誘われた時点で俺がその事を知っていたら、おそらく俺は一人蚊帳の外的な気持ちになってしまい、遊園地でアルバイトをすることは無かっただろう。
俺がそれを知ったのは数ヶ月経ってからで、大塚から羽田について相談を受けた時に知ったのだ。
この頃は俺と大塚は男友達みたいな関係で何でも言い合えるような仲になっていたので話を聞いた時には嫌な気もせず、逆に応援してやろうという気持ちになっていた。
しかし残念ながら大塚の想いは羽田には届かず、羽田は夏休みを待たずに辞めてしまった。そしてその一ヶ月後には南川も『時給が安い』という理由で辞めてしまう。
俺は時給は安かったが遊園地の仕事は楽しかったので辞める気は無かった。
それに俺は元々、親父の性格に似て何事も途中で辞めるのが嫌なタイプだったので長続き出来たんだとも思う。
それから俺達四人は頑張ってバイトをし、『夏休みの営業』を乗り切ったが、その後、大塚、北川と次々と辞めてしまった。
まぁ、好きな人が居なくなったんだからやる気が起こらない気持ちも分かるので俺は無理に引き留める事はしなかった。
そして残ったのは俺と佐々木の二人だけになってしまった。
大塚、北川の二人がいた時は俺は別のクラスだった佐々木とは大して会話もしていなかったし、可愛らしい顔はしているが何となく『ヤンキー』っぽいイメージがあったので俺からはあまり話しかけない様にしていたのだ。
でも二人が居なくなってからは互いによく会話をする様になり、俺が思っていた佐々木のイメージとは違った彼女の一面が分かるようになっていった。
二年生になると俺達は同じクラスになったこともあり、益々仲良くなっていく。
よくある話だが授業中に手紙を書いて隣の席の奴に『佐々木に回してくれ』『五十鈴君に回してくれない』といったことも結構やっていた。
周りから『二人は付き合ってるの?』と聞かれるくらいに本当に仲が良かったのだ。
そして俺は当然の如く佐々木の事を意識するようになった。
常に頭から佐々木の事が離れなくなってしまっていた。
夜も眠れないくらいに……
俺は佐々木の事が心の底から『大好き』になってしまっていた。
――――――――――――――――――
遂に『ラスボス』の登場か!?
次回もどうぞお楽しみに(^_-)-☆
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