霜を踏み躙るもの22

読んでる人の声が聞きたいので、何でもいいからコメント下さい。うんこでもいいです。


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「っく、結局具体策じゃなくてそういうのが一番きついんですよ!」



パイルバンカーが掠めた左大腿部が、次の瞬間熔け消えるようにして弾け飛びます。私は切断された膝から下が後方へ飛んでいくのを残っている右目で捉えつつ、腰から副脚を構成して何とかバランスを……あ、副脚も左脚判定で構成できないんですかそうですか。



「よっ、ほっ、はっ!」



支えを失い左へ倒れ始めた勢いのまま側転し、何とか体勢を保ちます。



「いや~、エイブラハムさんもそうでしたけどこのゲームのAI優秀すぎやしませんか?」



私が永久に不孝をなすものを蹴り上げてから数分。左目、左脚を消し飛ばされた私はかつて撃破した強敵エイブラハムさんを思い起こしつつ目の前の強敵不孝さんに視線を向けました。


対エイブラハム戦でもあった、AIの慣れ。あの時はペペさんの狙撃に助けられて凌ぐことが出来ましたが、生憎あの武器マニアは仕事中。それどころかラピスとチャッカマンさんも分断されてここにいないため、自身でなんとかしなくてはいけません。こんな事態を予想してまだ切っていない手札もありますが、それも雑に切るだけでは同じように対応されて終わりでしょう。



「とは言え、切らずに死んだら元も子も無いですしそろそろ切るべきでしょうか」



他2人が分体の相手をしているのに対し私が相手をしているのは本体。流石に向こうの戦闘が先に終わるでしょうし、2人のうちどちらかが来るまで持ち堪えれば何とかなるかもしれません。


停滞キューブを右腕で操作し、叢雲を取り出します。不孝さんとの戦いで叢雲を抜くのはこれが初、初見殺しも良いとこの性能で時間を稼いでくれ!



「———フッ!」



鞘を咥えて抜いた叢雲を、警戒しているのかあまり近づいて来ない不孝さんに向け振り下ろします。不孝さんは半身になって余裕の回避、そのまま接近してきました。対する私はショゴスのSTRを存分に活かした燕返し、振り下ろした叢雲を反転させ無理やり斬り上げます。完全な不意打ちだったはずですがさすがは不孝さん、掠る程度でこれも回避されてしまいました。


まぁ、私が振るっているのは叢雲なんですが。



「……ッ!?」



掠った部分から名状し難い色の血飛沫が上がり、不孝さんが体勢を崩しました。無感情な筈の顔からもいくらかの動揺が見て取れます。


私の持つ日本刀・叢雲の能力はダメージの安定化。対象のどこに命中しようとダメージのブレないそれは、斬ったのが例え指先だろうとバズーカ並みの威力を叩き出します。



「パイルバンカーもエグいですが、これも中々ですね」



さて、思っていたよりも効果がありそうなので案外時間が稼げそうです。出来ることならこのままラピスかチャッカマンさん、できればラピスが来てくれることを願いましょう。



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難産になりそうな話の前に1話挟んだので次話が難産。

追記:今日は昼から卓なので多分更新ないです。

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