"I'm dying to devour more……"3



「……じゃあ、今からリバストンに行く」



「おっけー」



「……」



マイカがこちらをじっと見ていますが……はて?



「ん? どうかした?」



「……いや、今日ちゃんと来ると思ってなかったから」



「失礼な、私が約束を破るわけ無いでしょう」











電脳空間であることを鑑みても、普段表情に乏しいマイカに物凄い顔をされました。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「……ん、ここがリバストン」



「ほえ〜、なんだか人斬りでも出そうな立地だね。」



「……お金持ってると、そういうイベントも、ある」



あるんですか。

しかし残念、当方金持ちどころか借金持ち故。



「……入る」



「ん、りょーかい」



マイカの後についてリバストンに入ります。

多少狭くはありますが意外にも中は小綺麗で、落ち着いた雰囲気です。



「いらっしゃ……あ、どうもお待ちしてました」



厨房の方で作業をしていた男性が、私たちに気づくと作業を中断して出てきました。おそらくこの人が依頼人である店長さんでしょう。


男性はマイカに対し軽く会釈をすると、私の方を一瞬見て視線を戻します。



「こちらの方が……?」



「……ん、来るかもしれないって言ってた、私のパーティメンバー」



「あっ、やはりそういうことなんですね! 受注してくださりありがとうございます、あー、えっと……」



「コロナです、よろしくお願いします」



『クエスト:もっと食べたいを受注しました』



店長と握手して、挨拶を済ませます。

ちなみに店主さんはアレクサンダーと言うそうです。名前かっこ良すぎかよ。



「ではコロナさんもいることですし、改めて依頼内容を説明させていただきます」










個室を備えた珍しい店「リバストン」。個室である関係上どうしてもお客さんの様子が目に入らない時間が長く、やんごと無きお方の会談や黒い取引に利用されることもある。

しかしここ最近、個室に入ったお客さんが皿を下げに行くと忽然と消えている、と言ったことが相次いでいるらしい。立地的にも食い逃げは少ない方ではないため始めは「またやられた」程度にしか思っていなかったが、数日してそのお客さんの身内の方から「リバストンに来店して以降の足取りが掴めない」と連絡が来た。

こんなことが何件も起こるので、偶然来店した探索者……マイカに依頼した。


……というのがアレクサンダーさんの話です。



「怖っ。お客さん減らないの?」



「……店員の1人が止めたから、客には伝えてない、らしい」



ほほう? それは怪しいですねぇ……。



「よし、その人に話を聞きに……いや、黙って見張ろう。警戒されそうだし」



「……ん、それがいい。ギルドに依頼しないのも、その店員が止めるからって、いってた」



さて、どこの部屋を見張るかですが……まぁ私が変形して全部屋見張るのが一番ですよね。










というわけで店の裏へ。


此処から触手を伸ばし、先端に作った目で各部屋を見張ります。

部屋は全部で七部屋、あまり広くないように見えたリバストンでしたが、奥行きは結構あったようです。



「……コロナ、もうすぐ、開店する」



「うん、今開いた。こんなにすぐ1組目のお客さんが来るなんて、案外儲かってるんだねぇ」



開店予定時刻より少し早い開店ですが、店なんてそんなものでしょう。お客さんが外で待っているなら尚更です。


それから1時間ほどは何もありませんでした。強いて言えば2組目のお客さんが矢鱈とよく食べることぐらいです。



「すごいねぇ、ウチの妹くらい食べてるよ」



「……シナリオ名的に、怪しい」



「だよねぇ」



さてさてさ〜て、ここからどうなるのでしょう?





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