"I'm dying to devour more……"4
2組目のお客さんは3人、全員男性です。はじめのうちは何やら談笑しながら食事をしていましたが、今や互いに食べ物を奪い合うかのような勢いで食事をしています。当然、会話もなしです。
「んー、これは……時間経過でフラグが立つパターンっぽいねぇ」
「……私は、暇」
「あー…説明すると、さっきもいった通りめっちゃ食べてる」
本当は物陰から監視したり店員に紛れたりしてこなすクエストなんでしょうが、今回は私がいますからねぇ。マイカは暫く暇にな……
「……っ!?」
「……? どうか、した?」
「……うん、どうもフラグが立ったっぽい」
私の視線の先では、中々の衝撃映像が広がっていました。
「食べる」というより「貪る」と言う形容がしっくり来るほどに一心不乱に食べていた3人。その足がいつの間にか内側にめり込み、膝から下が殆ど残っていません。さらに、太股も飲み込まれようとしています。
おそらく、上から見下ろすようなかたちで監視していたために気づくのが遅れたのでしょう。異様な食欲に気をとられていたのもあるかもしれません。
「うわぁ……」
それは、さながら自らを喰らっているかのようで。
「……むぅ、私も見たい」
「いや、SAN値減ると思うからやめといた方がいいよ」
生物としての根元的な嫌悪感を催「……ん、蝕悪夢(ミッドナイトメア)とか終末夢(ドゥームズデイ・ドリーム)のためにSAN調整したいから。」すような……
……え?
ミッドナイトメアとドゥームズデイ・ドリーム?
「ナニソレ?」
曰く、一定以下のSAN値を条件にしよう可能となる魔法だとか。なんだ、私には関係のない話しか。
「ふーん……どんなやつなの?」
「……考察班の調べによると、このゲームはかなりのマスクドデータが、ある」
ふむふむ。まぁ、SAN値も一応マスクドデータですからね。
「……そのなかに、仮称だけど、異形度って言うのがあって、これが低いほど、発狂しやすい」
「やっぱりそういうステータスもあったんだね。それで、その異形度とこれにどんな関係があるの?」
「……夢魔法は、異形度が低いほど強力になる」
へぇ、中々にユニークな魔法ですね。特定ステータスが低いほど強力になるとは。
「……つまり、仮にショゴスが魔法使用可でもほぼ使えないと?」
「……ん、考察班の調べによると、異形度はショゴスが最高で重人が最低。それに、一定以下の異形度じゃないと取得すら出来ないのもある」
おおう……それじゃあどう足掻いてもショゴスには無理じゃないか。
「それで、マイカはどんな夢魔法を……あ」
「……?」
「見てないうちに、お客さん消えちゃった」
「……」
「……」
あー、うーん、えーっと……
「て、てへぺろ?」
「……ばか、おばか。普段は覚えてなくてもいいことまで覚えてるくせに。」
「お、おっしゃる通りでございます……」
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