第33話
やって参りました、毎度お馴染みのフィールド「腐敗した聖域跡地」。
そして今回マイカに戦ってもらうのはこれまたお馴染みのエネミー、ダンゴムシ君。
「じゃあマイカ、まずはこのダンゴムシ君と戦ってみて」
「……私、レベル1、だよ?」
「どうせステータス上がらないんでしょ?」
「……そういえば、そうだった」
あ、武器を買ってくるのを忘れましたね。モンスタは初期装備無しの鬼畜ゲーなことを忘れてました。流石に無手は可哀想です。
「ごめんマイカ、武……あれ、なんで持ってるの?」
「……? 初期装備に、きまってる」
「ゑ?」
マイカがインベントリから取り出した質素な双剣、始まりの双剣をこちらに見せます。
……よく見るといつのまにかレザーアーマーのようなものも着ていますね。
「まさか……」
初期装備無しもショゴスのデメリットの1つだった、だと……? そんな馬鹿な……。
過去の苦労が再び私に牙を剥いたことにより頭を抱えていると、マイカが戦闘準備を終え、双剣を構えます。
「……いく」
短い宣言の後、マイカの身体が文字通り弾丸のように飛び出しました。
そのままダンゴムシ君に肉薄したマイカは、膨大な運動エネルギーを右手の鉄剣に乗せて叩きつけます。
ズパァァァアアンッ!!!
次の瞬間、ダンゴムシ君が正中線に沿って真っ二つになりました。
「何それつっよ」
「……ふふん」
マイカがドヤ顔とともに戻ってきます。
「え、明らかにステータスに見合わない速度と威力なんだけど」
「……パッシブスキルは、全部取ると、隠し効果が、あるみたい」
────────────────
───強化
・人間専用スキル
・効果:自身の───を2倍にする(パッシブ)
・効果:スキル及び魔法の威力10%減衰(パッシブ)
・効果:10秒間、自身の───を2倍にする(隠し効果/アクティブ)
────────────────
うわすっごいですね。10秒間とはいえステータス4倍ですってよ。これは破格と言っていいでしょう。
それにしても……
「よくもまぁ、10個もとったね。どうせマジックラフト社のことだから威力減衰も重複するんでしょ?」
「……ん。攻撃スキルと魔法は、実質使用不可」
「やっぱり……。というかこれ、隠し効果なかったらどうするつもりだったの?このゲームキャラデリないよね?」
「……その時は、その時。最悪、永久的狂気で、1回ロスト」
「何がマイカをそこまでさせるんだ……」
まぁ、キャラデリできないからこそ同じことをした人の話が上がってこないんでしょうね。
「つまりさっきのはSTR:76、DEX:108、AGI:108の斬撃ってこと?」
「……TECと、LUCも。クリティカル補正が、のるから」
「あぁ、なるほど」
朗報(悲報?)、重人も実はヤバい種族だった件。
最初はショゴスの下位互換かとも思いましたが……効果減衰ではなく威力減衰、つまり回復や転移、強化には支障がないのでしょう。
「……ちなみに、レベルアップで習得する、スキルと魔法は、取得済のものの傾向に、引っ張られる」
「ってことは……」
「……ん。私は、パッシブスキル、ばっかり」
それは何ともアレなことで。
何故そこで嬉しそうな顔をするのか全く分かりません。
結局その後もしばらく狩りをした後、街へは行かずにお互いログアウトしました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
現実へと戻り、身体を起こした舞香はメールが来ていることに気づく。
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件名:お誘い
差出人:瑠璃
宛先:舞香
本文:舞香先輩もモンスタ始めたんですね、十華先輩から聞きました!
それでお誘いなんですが、私と百音先輩、十華先輩、プロゲーマーの爪上さんと鷹之芸さんであるシナリオをやるのに参加しませんか?
実施予定は来月です!
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「……なんで、プロゲーマー?」
何故かメンバーに混じるプロゲーマーに困惑。しかしその困惑も「どうせ百音だろう」と直ぐに消え、端的な返信をする。
────────────────
件名:re:お誘い
差出人:舞香
宛先:瑠璃
本文:する。
────────────────
来月のことを思い、舞香は珍しく笑みを浮かべた。
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