第10話
やってしまったことは仕方がないので、気にしないことにしました。
ということで、目下の解決すべき問題は幼胚と右腕です。
ふーむ、とりあえず右腕を食べましょうか。躊躇っても何か変わるわけじゃありませんしね。
停滞キューブからミスター・シャイニーの右腕を取り出します。うわっ、骨つき肉ですよ。しかもなんだかネバネバしてます。
「…いただきます」
……酷い味ですね。何というか、腐肉と胆汁を混ぜ合わせたみたいなそんなイメージです。
「むぐむぐ、ゴックン……っ!!!???!??」
頭を情報の洪水が襲います。どうもミスター・シャイニーの記憶の一部を捻じ込まれているようです。
普通は頭痛にのたうち回るところなんでしょうが……生憎私には心強い味方「百音式並列思考術四十八番」があります。
こんなにも便利なのに何故か誰一人として入門してくれないんですよね。
ちなみに入門条件はグラデュエルのダッグデュエルをソロプレイでS9まで上げることです。
おっ、どうやらスキルと魔術を覚えたようです。〈魔法取得不可〉とは……?
────────────────
〈古のものの言語〉
古のものと意思の疎通が可能となる。
《手足の萎縮》
この魔術を使用する際、一定の確率で発狂することがある。
この魔術の成功率は対象のMPと自身のMPの差で変動する。
詠唱を行うことで対象の手足の内、指定した一本を萎ませる。
さらに対象にダメージを与え、CONを減少させる。
《被害をそらす》
この魔術を使用する際、一定の確率で発狂することがある。
自分を襲う攻撃に対しぐっと片手を伸ばすことで、受けるはずだったダメージに応じたMPを消費して、攻撃を次々と脇へそらすことができる。
《魚を引きつける》
水中に餌をおき、詠唱を行うことで暫くすると地元の魚が集まってくる。
《ナイハーゴの葬送歌》
この魔術の成功率は対象のMPと自身のMPの差で変動する。
詠唱を行うことで《復活》によって蘇った者を元の灰色の粉に戻す。
────────────────
ほほう、さては魔法とは別枠で「魔術」が存在しますね?
というか古のものと会う機会がやってくるのでしょうか……。
しかし甘いですね、今更この程度のことで驚いたりはしないのです。
いやぁ、慣れって怖い!
お次は宇宙からの色の幼胚ですが、実はこれはもう考えてあります。
まず手の甲に孔をあけます。
次にそこに幼胚を嵌め込みます。
孵化までの残り時間が表示されたのを確認して、終了です。
どうやら上手くいったようですね。やはり体内は「栄養の豊富な場所」という判定でしたか。
さて、これでおよその問題は片付きました。一度フィールドに出てみるとしましょう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ということでやって来ました「腐敗した聖域跡地」。
フィールド名からしてもうヤバイです。おっとヤバイbotのミームが復活なさった、《ナイハーゴの葬送歌》唱えるぞこのやろー。
おや、記念すべき初戦闘のお相手がやって来ましたよ?
ショゴス君や永遠不孝さんとのあれは、どちらも一方的すぎたのでカウントされません。
現れたのは……何でしょうか、この生物なのかを疑いたくなるようなものは。
瓦礫の塊から電気コードのようなものが生えており、全体的なフォルムとしてはダンゴムシに似ています。
まあ、大きさは1mくらいありますが。
……倒せば何かわかるでしょう。
ということで、まずは右腕の人化を解除して肥大化させ、ダンゴムシ君を殴りつけます。
バキィグワガシャァァァアアン!
「……おおう」
ダンゴムシ君が消し飛びました。
いくら最初のフィールドとはいえこれは……。
あぁ、いえ違いますね。ショゴスという種族の仕様からして、恐らく序盤だけならガチャプレイでなんとかなるのでしょう。
さてさて、ドロップの方はどうでしょうか。
・スクラップ・ピルの損外殻片
スクラップ・ピルの破損した外殻片。
非常に強い力で叩き潰されており、価値はない。
・破損したデジタル板
「3662.6.8.11:13」とだけ表示されている。
それは過去の残滓であり、終わりの時を伝えるものである。
その時何があったのか。それを知るものは最早限られるが、過去の残滓から察せられることもあるだろう。
…舞台が地球説が信憑性を帯びてきましたね。絶対これ年月日と時間ですよ。
損外殻片については努めて気にしません。
次からは優しく潰しましょう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
暫く狩りをしていると、運営からメールが届きました。
どうやら10日後に初イベをやるようです。
内容は不明ですが、参加条件が妙ですね。「当日、ゲーム内で寝ていること」……?
「まさか、いや、でも……まぁそれしかないですよね」
……とりあえずのところは、10日後までに出来る限りの事をしておくとしましょうか。
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