「ナニカ」

私が扉の奥へと歩を進めると、「ソレ」は姿を現しました。


最早見慣れた吐き気を催すような玉蟲色。

何処かからか響く鈴のような音。

目の前にいるのは悪夢が凝縮したような「ナニカ」。

ここが電脳空間であることを疑うほどに圧倒的な悪意と嘲弄の視線の奔流。

膝が笑ウ。

汗ガ吹キ出ス。

涙ガ溢レル。


「テケリ・リ!テケリ・リ!」

「「「「「何の用ダ、矮小ナる者ヨ」」」」」

「テケリ・リ!テケリ・リ!」


何ヲ。


「テケリ・リ!テケリ・リ!」

「「「「「ム?貴様、ショゴスノ神人か?」」」」」

「テケリ・リ!テケリ・リ!」


言ッテイル?


「テケリ・リ!テケリ・リ!」

「「「「「私に挑ムには未ダ早いガ、ここマで来たのだ、褒美ノ一つモヤラネばナ」」」」」

「テケリ・リ!テケリ・リ!」


「ソレ」ハ。


「テケリ・リ!テケリ・リ!」

「「「「「今日の夕餉ハ決まりダな」」」」」

「テケリ・リ!テケリ・リ!」


私ヲ覆ッテ。


「テケリ・リ!テケリ・リ!」

「「「「「サァ、逝け。矮小さき同胞ヨ」」」」」

「テケリ・リ!テケリ・リ!」


咀嚼スル。


「テケリ・リ!テケリ・リ!」

「「「「「デハ、さらバダ」」」」」

「テケリ・リ!テケリ・リ!」


「あ……」


私ハ死ンダ。






『称号:百万の恵まれたるものの継承候補を入手しました』


『特殊状態:道化(ピエロ)が付与されました』


『異常を検知しました ログアウトします』




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る