異世界へ転移した青年・黒野影次は、悪の組織と戦いを繰り広げてきた変身ヒーロー『騎甲ライザーファング』だった。アルムゲートの街に駐留する騎士団と出会い、魔族の襲撃から彼らを救った影次は、この異世界でも正義の味方として生きていくことを決意する。
異世界ファンタジーと変身ヒーローという異色の組み合わせが特徴の作品です。
異世界のシンクレル王国では人類の宿敵である魔族が暗躍し、影次は姫騎士のサトラ、美少女魔術師のマシロと共に魔族の陰謀に立ち向かうのです。
例え強力な肉体と呪術を使う魔族が相手でもヒーローパワーで圧倒する痛快さがあります。しかし必殺技を起動するためには魔力をチャージしなくてはならず、マシロだけが使える固有魔法『魔力譲渡』で補充しながら二人三脚で戦っていく。最初はツンツンしていたマシロが次第に絆を深めていく姿が可愛いのです。
これまで力を持つ者の義務として戦ってきた影次が、柵のない異世界で自分を見つめ直していくところポイントですね。自分は何のために戦うのか、誰のために戦うのか。どこにいても自然と己の成すべきことを成し遂げる、それがヒーローの本質なんだと思います。
(「ヒーロー参上!」4選/文=愛咲優詩)
2/3最新話読了後の感想
どれだけ傷ついても戦い続けるヒーロー。彼を必死で支えようとするも、壊れていく様を見ているしかなかったヒロイン達。そんな時主人公にとってトラウマともいうべき苛酷な過去が襲い掛かる。守られる立場だったヒロイン達は、今度こそヒーローを助けるために立ち上がる。
ベルトで変身する特撮ヒーローのようなヒーローと、剣と魔法の異世界という組み合わせが、斬新ながら上手く調和しているように思う。基本的に3人称視点でありながら、各キャラクターの心情を掘り下げてくれるのも感情移入しやすくて良い。
主人公の流血描写も増え、物語はますますシリアスになっていく。今後の展開に目が離せない。