第1話 機械の街

 ……オーロプラータ。

 そこは、人々の生活が蒸気機関によって支えられた機械の街である。

 技術者の存在が、街のサイクルに重要視されているとして、移住を決意する者も

多かった。

 そして今日、この街に新たな住人がやって来る。

 

 ……。

 街近くの発着場。

 機関車の中から降りてくる人々の姿。

 その中には、ある3人組の姿もあった。


 3人は発着場から見える景色を眺める。

 視界に映ったのは、これから自分達が暮らす街だった。


 機関車で乗り合わせた人々の流れに添って、3人も街の中へと入る。

 長い間、静かな場所で暮らしていた3人を、活気にあふれた人々の声と

街のあちこちから響き渡る蒸気の音が、環境の違いを感じさせた。

 

 しばらく歩くと、3人は目的の場所へと到着した。

 工業区・第4工房。

 これから、3人の拠点となる場所である。

「ここで、合ってるよな」

「……ここだね」

「入りましょう」

 3人は工房の中へ足を踏み入れた。


「お待ちしておりました、ようこそオーロプラータへ」

 と、3人の到着を迎える1人の女性。

「アンベル・マゼノン様とブランフド・ルノージュ様とノワルフ・カーラッテ様

ですね」

「私は、中央区の役場に務めております、ナヴィー・ローセと申します、以後お見知りおきを」


「早速になりますが、まず皆様にはこちらを」

 ナヴィーは、3人にそれぞれ何かを手渡した。

「この街の在住許可証です、ご確認下さい」

 3人が目を向けると、そこには各自の名前が記載されていた。

「この街で活動するにあたって大切なものになりますので、どうか

紛失なさいませんようお願い致します」


「あと、こちらを」

 ナヴィーは持っていた鞄の中から書類を取り出し、3人の中央に立っていた

アンベルに手渡す。

「第4工房の運用許可申請書になりますので、工房の運用準備が

整いましたら、こちらの提出をお願い致します」


「この街に関する大体の事は、以前にお送りした書類に記載してありますが

ご不明な点やその他不備がありましたら、役場までお越し下さい」

「では、これからよろしくお願い致します」

「よろしくお願い致します」

3人の重なった声が、工房に響き渡った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る