第237話 ハスラー
金曜日の夜。
”いい天気”にやってきた。
なんとかラストオーダーの時間にぎりぎり間に合った。
「いらっしゃい~ませ~」
カウンター席に案内されたと同時に注文する。
「このパスタと樽熟甲州をお願いします」
「ありがとうございます~」
いつもは、小動物のようにくるくると表情を変えてかわいらしい感じの柏木洋子。
だが、今日は疲れ切っていた。
今週、仕事が山場を迎えていたのだ。
「お疲れのようだね。大丈夫?」
カウンターの3席向こうから声をかけられた。
常連の早乙女さんだ。
「ありがとうございます。あ、それとこの間教えてくれてありがとうございます。
道志道、とっても良かったです」
「それは良かった」
「早乙女さんもバイクに乗るんですか?」
あのルートは調べてみるとバイカーの聖地と呼ばれているらしい。
「いや、車でよく通るからね。バイクの免許は無いんだ。
でも、学生の頃は原付のバイクに乗ってたけどね」
「スクーターですか?」
「いや・・・スズキのハスラーっていうオフロードだよ」
すると、別の40代くらいの常連さんが話に乗って来た。
確か、池田さんと言っていた気がする。
「ハスラーってクルマだろ?バイクじゃないじゃん」
「もともとはバイクだったんですよ」
スズキ TS-50W。通称”ハスラー”。
オフロードタイプのフルサイズの原付バイク。
昔は、こういった原付も多かった。
最近は、50CCの原付バイクはどんどん減ってしまっているのだが。
「へえ、それだったら、詳しそうですね。他にもおすすめのルートあります?」
「そうだなぁ・・・関東は山に囲まれているからいろいろあるよ。
例えば・・・〇〇〇山とか」
「あ!聞いたことあります」
「あそこには最近ワイナリーもできたしね」
「へえ・・・そうなんですか」
早速、スマホを取り出して調べてみる。
今週は忙しかった。精神的にも、ストレスが溜まっている。
ストレス発散のために、週末はバイクに乗りたかったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます