第230話 シャトーシャルマン 尾白 シャルドネ 2017

 今日は、十五夜。


 健司は、仕事帰りに花屋でアレンジメントを購入した。

 ススキや竜胆に黄色の菊の花をあしらったアレンジメント。


「ただいま」

「あ、おかえりなさい!すぐご飯ができますよ」


 先に帰っていた美月が食事の準備をしてくれていた。


「お花を買ってきたよ、棚に飾るね」


 そう言って、美月に見せる。


「え?うわ~かわいい!」

「今日は十五夜だからね。はい、こっちは月見団子」

「いいですね!ありがとうございます!」


 食後、照明を暗くしてカーテンを開けてテーブルに着く。

 窓から見える、明るく輝く満月。


 グラスに注いだのは・・・


 山梨県北杜市 シャトーシャルマン

 シャルドネ尾白 2017


 ラベルに月のような丸いデザイン。


 白ワインだが、色がすこし濃い。 

 口に含むと、様々な香り。複雑な味わい。


 これは・・・いいワインだ。


 

「いい月夜ですね・・・」

「そうだね。今夜は晴れて良かった」


 月に照らされた美月の横顔を見る。

 視線に気が付いたのか、こちらを見た美月が微笑んだ。


 健司も笑い返す。


 ああ・・・良い夜だ。


 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る