第220話 大池ワイン ヤマソービヴィニヨン スパークリングワイン

「ただいま~~。疲れた~~」


 自宅に帰って来た、高橋ミキ。


「おかえりなさい。お疲れ様」


 出迎えたのは、大学生の彼氏の三崎海斗。


 すると、玄関先でミキは海斗に抱きつく。

「海斗クン成分補給~~~会いたかったよ~~」


 そしてキスをする。



 このご時世、ネイリストのミキの仕事は減っていっていた。

 外出しなくなると、容姿に手をかけなくなっていく。

 だんだんと、お客さんが減っていっていた。


 このままではまずい。何かしないと。

 そういうことで、常連向けにオンラインのネイル教室をやってみた。


 これが、ウケた。

 毎回好評となり、参加人数も増えて行ったのだ。


 だが、参加しやすいように平日の夜の開催である。

 必然的に残業時間に開催したため、帰りが遅くなることになったのだ。


「ご飯できていますよ」

「ありがとう~~~。海斗クン大好きよ~~」


 食卓に並んだ、美味しそうな料理。

 鶏むね肉の、チキンソテー。

 皮がパリッと焼きあがっていて香ばしい。

 付け合わせの蒸し野菜にコンソメスープ。


 海斗の料理の腕はなかなかいいのだ。


「うわ~~美味しそう!」

「ミキさんお腹すいたでしょう。早速食べましょう」


 海斗が、ミキのグラスに注いだのは・・・


 長野県東筑摩郡山形村 大池ワイン

 ヤマソービヴィニヨン スパークリングワイン


 うさぎのイラストがかわいいラベル。

 なぜか日本刀も描かれている。


 未成年の海斗はウーロン茶。


「カンパーイ!」


 グラスに口をつけ一口飲むミキ。


「おいし・・・」

 辛口の、赤のスパークリングワイン。


 ワインを飲むミキを、海斗は笑顔で見つめている。


「ん?海斗君どうしたの?」

「いえ。ミキさんを一緒にご飯が食べられてうれしいなって・・・思って」


 それを聞いたミキは、ちょっと顔を赤らめ・・それでも嬉しそうに言う。


「私もよ。海斗クン」


 ミキも海斗に満面の笑みを見せる。


「海斗クン。愛してる。大好き!」 

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