第196話 武蔵ワイナリー Jugemu2020

「いい天気になりましたね~!」


 埼玉県 小川町 武蔵ワイナリー。

 もはや、何度も来ているワイナリーである。


 今日は、日曜日と言うこともあるせいかキッチンカーの屋台が出ていたり、地元の方と思われるパンを売っていたり。

 お客さんも結構来ている。


 高台から見渡す里山の新緑が綺麗である。


「見てください!ヤギがいますよ!」


 白と黒の2匹のヤギが緑の濃くなった桜の木の下につながれている。


「雑草とかを食べるためなのかな?ヤギはたくさん草を食べるそうだからね」

「へえ~、でもかわいいですね」


 ログハウス風のワイナリーショップに入る。


「あった!これです!」


 冷蔵されているケースの中にあったのは、新商品のワイン。

 フルボトルとハーフボトルが売られている。


 美月はかごの中にそれぞれ2本・・・計4本をいれていく。ずいぶん買い込むなぁ・・


「これ、限定だそうで本数が少ないそうなんですよ。これを逃すと買えなくなるかもしれません」

「そうなんだ」

 

 健司は、自分が買いそびれたワインを思い出していた。確かに、チャンスを逃すと買えなくなることも多い。

 そのうち、また塩尻まで買い出しに行きたいなぁ・・・

 そう考えている、健司であった。


 自宅に戻ってきて、まずはハーフボトルを開けてみることになった。


 埼玉県小川町 武蔵ワイナリ―


 寿限無寿限無 小川 ヤマソービニオン ブランドノワール フリザンテ ぶどうの栽培期間中農薬一切不使用 低温発酵 補糖無し 酸化防止剤やおり引き剤等ぶどう以外一切不使用 無濾過 長久命の長介


 正式名称が上記だそうなのだ。長い!

 略称としては、Jugemu2020。


 小川町産ヤマソービニオン(黒ぶどう)で造った微発泡性白ワインとのことである。黒ぶどうで作った白ワイン!?


 謎である。

 黒ぶどうからは、赤ワインかロゼが作られるはずなのだが・・・?


 グラスに注いでみる。

「白く・・・はありませんね」

「ロゼ・・・とも違うけど・・・」


 淡いピンク色。白っぽく濁っているので桃色に見える。


「これ・・・不思議な味ですね。白でも赤でもロゼでもない感じ。優しくておいしいです」


 とろっとした感じ。ほんのり甘さを感じる果実味。酸は少なめ。やわらいかい味わいでコクがとてもある。

 たしかに、これはおいしい。しかも珍しい味わいだ。


「何本か買ってきてよかったですね」


 美月が嬉しそうに言う。

 このワイン、気に入ったらしい。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る