第145話 部屋にて

 食事が終わり、部屋の暖炉の前のソファで美月と健司は並んで座っている。

 暖炉の炎がゆらゆら揺れる。時折、薪がバチンと爆ぜる。


「健司さん・・」

「ん?」

「お願いがあるんですけど、聞いてもらえますか?」

 恥ずかしそうに美月が言う。

 こういうときは、かなり勇気を出して話しているときだ。真面目に効かないといけない。

「なんだい?できることなら何でもするよ」

「あの・・・」

 上目遣いに甘えてくる。

「一緒にお風呂に入りませんか?」


 それは、予想していなかったな。




 部屋に設置しているバスルームはかなり広い。浴槽はヒノキ。二人入っても余裕がある。

 浴槽に湯をためて、先に入っている。

 やがて、タオルを巻いた美月が入ってくる。正直に言って、素晴らしいとしか言えない。

 とても恥ずかしそうに入ってきて、無言で浴槽に入ってくる。

「ええと・・・もっとこっちにおいで」

「えへへ・・やっぱり恥ずかしいですね」

 湯船の中、肩を並べる二人。

 恥ずかしそうに、こちらをみる美月。

 ぴっとりと体をくっつけてくる。

 思わず、肩を抱いてしまう。

「なんか、恥ずかしいけどこういうのもいいね」

「そうですね」

 二人よりそい、キスをする。

 

 暖かいひととき。

 素敵な夜を過ごした。




 次の日。

 チェックアウトをし、車の乗り込む。

「また、来たいですね」

「そうだね、また来よう」


 そう思わせてくれる、素晴らしい旅行であった。

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