第142話 暖炉
(瀬戸美月視点)
ホテルの窓から見えるのは、真っ白な雪景色。
でも、部屋の中はとても暖かい。
暖炉では、炎がゆらゆらと揺れている。時折、パチっパチっ薪から音がする。
その暖炉の炎で暖まりながら、ソファでシャンパンを飲む。とても美味しいシャンパン。傍らにはおしゃれなフルーツがお皿に乗っている。
なんて贅沢なんでしょう・・・
油断しちゃ駄目。飲みすぎないようにしないといけない。飲みすぎて寝てしまうわけにはいけない。
その暖炉の炎を見ながら、健司さんが話し始めた。
「実は・・・相談があるんです」
真剣な顔で話してくる。
「なんですか?健司さん。相談って」
「実は、引っ越しを考えているんです」
「え?引っ越しですか?」
まさか・・一人暮らしに戻りたいとか・・・?
「この間・・お世話になった先輩の家に行ったんですけど、そのときに先輩から相談されたんです。先輩はマンションの部屋を持っていて人に貸しているらしいんですが、その部屋がもうすぐ空くそうなんです」
炎を見つめながら、健司さんは話す。
「そこは、2LDKで今のところよりかなり広いそうなんです。今のアパートは2人で住み続けるにはちょっと狭いですからね。この先、一緒に住み続けるならもっと広いところに引っ越すのはどうかなって思うんですけど。どうですか?」
そ・・・それは、もうプロポーズなのでは!?
私の心臓はドキドキと高鳴っている。
答えは、決まっている。
「はい、喜んで!」
健司さんは、うれしそうに微笑んだ。
「ありがとう、美月」
私は涙ぐみながら健司さんに言った。
「健司さん、私うれしいです。
こんなロマンチックなプロポーズなんて、夢みたいです」
「え?」
その後、健司によってプロポーズではなかったと一生懸命言い訳。
でも、その際健司によって告げられた言葉。
「ちゃんとしたプロポーズだったら別にしますから。指輪も用意していないし・・・」
言質はとったので、良しとしましょう。
◇◇◇◇
健司と美月が出会ったのは夏。
ということで、まだ半年たっていません。
健司もまだプロポーズは考えてはいなかったのですが・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます