第119話 勝沼醸造 アルガーノ 甲州 白/ベリーA 赤(山梨ヌーヴォー)
「いらっしゃい〜。あら、お二人で来るなんて珍しい」
健司と美月は”いい天気”にやってきた。
「そういえば、二人で一緒に入ることはあまりなかったかも」
「そうですね、いつもミキちゃんと来てましたから」
カウンターの奥の席に案内される。
メニューを見ると、新しいワインが入荷したようだ。
「山梨ヌーヴォーですか?」
11/3解禁と書いている。
「山梨では、新酒を山梨ヌーヴォーって名前で大々的に売り出してるらしのよ。11/3に一斉に解禁だって」
お店のミキちゃんが教えてくれた。
「11/3って解禁されたばっかりですね」
「じゃあ、それにしようか」
「私、赤を飲んでみたいです」
「じゃあ、俺は白で。あと、なめろうとカキフライもね」
「はあい、ご注文いただきました〜」
勝沼醸造 アルガーノ
甲州(白)とベリーA(赤)
ワイングラスに注がれた白ワインは、香りはとてもフルーティ。
口に含むと、柔らかい酸味が広がりその後に果実味がまろやかに膨らんでゆく。
新酒といえども酸っぱすぎたりしない、フレッシュな白ワイン。
「この赤ワイン、甘いけど甘すぎないしコクもありますよ」
「へえ、じゃあ次はそれを飲んでみようかな」
勝沼醸造はこの前に美月と一緒に行ったところだ。
新酒でこの旨さだと熟成させるともっと良くなるのだろうか・・
今年のワインは期待できそうだ。
ただ・・7月の長雨のせいで病気で葡萄の収穫量はかなり少なかったと聞く。
あまり量はできないかもしれない・・・と。
”ある意味今年のワインは貴重だよ”と笑って言っていたが。
去年は台風で、今年は長雨か・・
ワイナリーはこのところ、毎年天候に翻弄されているな。
温暖化の影響も色々あると聞いているし。
「ところで、健司さん。ワインもいいんですけど、そろそろ本題に入りましょう」
「う・・・そうだなぁ・・」
ポケットから、先程購入したばかりのスマホを取りだす。
「あらぁ、早乙女さんもついにスマホにしたの〜?ほんと、いつまでもガラケーのままかと思ってたら、ようやく変えたんだ」
料理を持ってきたミキちゃんがそれを見てからかってくる。
「そうなんですよ、さっき機種変更してもらってきたばかりなんですよ」
「へえ、ようやく年貢の収めどきってことね」
「それで、スマホの使い方を健司さんにじっくり教えようと思ってきました」
女性同士で話が進んでいる。
スマホね・・・・
「じゃあ、今度は俺は赤ワインをもらうよ」
その後、スマホの使い方を美月に事細かく説明された。
特に、SNSの使い方を・・・
今後の連絡はSNSでやり取りすることになるのだろう。
ワインを飲みながらのスマホ教室。
そうして夜も更けていくのだった。
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