第100話 やまふじぶどう園 ねこかぶり2019 ②

ワインを一口飲んで、瀬戸美月は話し出した。


「私、もともとは内向的で人見知りだったんです。」


ーーーー


中学生の時。瀬戸美月は人見知りが激しく、クラスではいつも一人でいた。

いわゆるボッチである。

そんな瀬戸美月のことをクラスの男子は陰口を言うなど、からかっていた。

なので、ますます内向的になった。

一人で本を読むことが多くなっていく。

小説・漫画、何でも読んだ。特に少女漫画を読むことが増えていく。

そんな美月をクラスの男子たちは馬鹿にしていた。

高校に入っても、同じような状況が続いた。

それが変わったのは高校2年の時。

ミキと同じクラスになったのだ。

「お前らいいかげんにしろよ!」

美月はすっかりミキになつき、いつも2人でいるようになった。友人といえばミキだけだった。

ミキが美月をかばうことで、男子たちが表立ってからかってくることはなくなった。

でも、影ではクラスのイケメンたちが美月のことをバカにしていることは知っていた。

そういうこともあり、すっかり男子に対して恐怖症になってしまっていた。



大学に入り、ミキのすすめで髪型を変え、パーマをかけ、ファッションも変えた。

ミキのすすめで、ニコニコと笑う練習もした。


そう・・猫をかぶるようになったのだ。


すると、男子からの反応は変わった。

いままでバカにしていた男子が、なぜか声をかけるようになってくる。

しかし、美月はそれがむしろ怖かった。

ちやほやしている影でバカにしているのではないか?ホントの自分を知られたらバカにするのではないか?

一度、ミキのすすめで合コンに行ってみたが30分で耐えられなくなり帰ることになった。



でも、一方で美月は少女漫画のような恋愛にも憧れていた。

いつか素敵な人が現れるのではないか・・・


その2つの矛盾を抱えたまま、いつの間にか社会人になってしまった。



猫をかぶるようになって、美月は男性にもてるようになった。


でも・・・


本質は、いまだに内向的で人見知り。

だから、男性はとても怖い。

特に積極的に来る男性やイケメンは特に怖い。





そんな時に、”いい天気”で早乙女と出会ったのだ。

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