第67話 夜景
ディナーの後、スタッフの方にホテルの車に案内される。
高級セダンの後部座席。
瀬戸さんと一緒に、昼間に行った展望台に案内される。
いや、どこの展望台って言わなかったけど、なぜわかるのだろう。
「早乙女さん、夜景が綺麗ですよ!こっちに来てくださいよ。」
はいはい。
恋人の聖地。
案内板にはこう書かれている。
『満点の星々の下で夜景の中に踊るピエロが浮かび上がります。
この椅子に二人で座って小窓からそのピエロの赤い鼻を見つけると二人は結ばれるそうです。』
今日はきれいな星空で、、夜景も美しい。
ベンチの前にはレンガ造りの壁。そこに開いている小窓。
「さぁ、座ってみましょうよ。」
瀬戸さん。ノリノリである。
仕方なく、ベンチに座って小窓から夜景を見てみる。
ただ・・踊るピエロは・・よくわからない。
夜景が切り取られて見えている。
しばらく眺めていると・・
「あ・・あれがピエロじゃないでしょうか?ほら三角の帽子が見えますよ!」
「え?どこでしょうか・・・?」
「あ!鼻が光りました!赤く光りましたよ!」
瀬戸さんはとても盛り上がっていた。
うーん。私には結局わからなかった。
駐車場で、ホテルの車は待っていてくれた。
「すみません、お待たせしてしまって。」
「いえ、まったく問題ありません。夜景は楽しめましたでしょうか?」
「はい!とても素敵でした!」
瀬戸さんは、にこにこと満面の笑みである。
「そういえば、夜食に軽食を用意しているのですが、後ほどお持ちしてよいでしょうか?」
「ぜひお願いします。」
瀬戸さんは不思議そうに見てくる。
「此処の夜食。とてもおいしいんですよ。」
「へえ・・・そうなんですか」
ニコニコと笑う瀬戸さん。
展望台以降、やたらと距離が近い。
「楽しみです~。」
ちょっと酔っていないか心配である。
運転手の方はまた、話してくる。ちょっと困ったように・・・
「ところで・・・ご指示通りにいたしましたけど、本当によろしかったのでしょうか?」
「ええ、もちろんです。ありがとうございます。」
当然、そうしてもらわないと困る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます