第36話 デート?②
食事が終わった後、会計をしようとすると、瀬戸さんは自分が払うと言って聞かない。
正直、こういう場では男が払うもんだと思っていたけれど。
「今回はこの間のお礼です。私が払います。」
「気にしなくていいのに。」
「大丈夫です、心配しないでください。」
「そういえば、このビルには映画館もあるんですよね。」
「そうだね、よかったらいっしょに映画を見ていきますか?」
「ぜひお願いします。」
今やっている映画と言えば、アニメ・恋愛もの・バイオレンス」
「この映画なんてどうです?」
恋愛ものを勧めてみた。
「いいですね、これにしましょう。」
そして、チケットを買って一緒に見た。
----
(瀬戸さん視点)
一緒に映画を見た。
男性とデートって初めて。緊張する。
早乙女さんは、優しく微笑んでリードしてくれる。
あぁ。いい人だなぁって思った。
けれど、何か違和感を感じる。
映画を見終わって、ビルの外にでる。
そろそろ夕方になる時間帯。
目に入るのは観覧車。
「もしよかったら、あの観覧車に乗りませんか?」
誘ってみた。
早乙女さんはちょっと驚いたようだったけど、すぐに了承してくれた。
「わかりました、行って見ましょう。」
幸いに、観覧車には少し並ぶだけで乗り込むことができた。
早乙女さんと一緒に遊ぶのは楽しい。
でも。
私は感じていた違和感に気づいてしまった。
観覧車に乗って、景色を眺める。
夕暮れに染まる景色。きれいである。
「景色がきれいですね。」
相変わら微笑んで、話しかけてくれる早乙女さん。
でも・・・
「早乙女さん。今日はありがとうございます。とても楽しかったです。」
「それは良かった。」
にっこり笑う早乙女さん。
でも、その笑顔に違和感があるのです。
まるで、営業のような笑顔。
「早乙女さん。早乙女さんは今日は楽しかったですか?」
「え?」
「それとも・・・・」
悲しい気持ちになってしまう。
もし、早乙女さんはほんとは楽しくなかったのではないかと。
私の相手を仕方なくしていたのだとすると。
とても悲しい。
「早乙女さん。私は早乙女さんと一緒にいると楽しいです。
でも、早乙女さんはどうだったんですか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます