第19話 絶対に負けられない戦いがそこにはある

「いや、それはまずいでしょう。独身の女の子が一人暮らしの男性の家に行ってお酒を飲むって、倫理上良くないと思いますよ・・」

「えー。独身じゃなかったらいいんですか?」


いや、独身じゃないほうが問題か・・・

じゃなくって


アラフォーの男の家に20代の女の子を連れ込むのはさすがにまずい。

付き合っているわけでもなく。今日までほとんど話したことも無い子だ。

そんなに遊んでいる風でもない女の子。

たぶん、飲ませすぎたんだろう。

そこは、私にも責任がある。


そう、ここには絶対に負けられない戦いがある。


「瀬戸さんは一人暮らしなんですか?」

「いえ実家暮らしですけど。」

「じゃあ、帰りが遅いって心配されるんじゃないですか?」

「大丈夫ですよ、まだ夕方じゃないですか。」

「いや、もう結構暗くなってきていますよ。」

「高校生じゃあるまいし、大丈夫です。」


えー・・・・

瀬戸さん、結構酔っていらっしゃる?


「また今度にしませんか?今日は送っていきますから・・」

「今度っていつですか?だいたい、。ずるいですよ」


ずるいって・・・

自分で働いた給料で自宅でお酒を飲んじゃいけないのだろうか?

明らかに酔っ払いの論理である。


「いや、ずるいって・・・」

「ずるいですよ。ワインを飲ませてもらうまでは車を降りませんから。!」


絶対に負けられない戦いがそこにはあった。



負けたけど。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

敗因:酔っ払いに理論で攻めても無駄である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る