第18話 家ついて行ってイイですか?

関越自動車道路から圏央道に入る。

夕焼けがきれいだが、だんだん薄暗くなってきた。


瀬戸さんは、隣でぶどうジュースを飲んでいる。

「このジュース・・。ものすごくおいしいですね。」

「そのジュースのぶどうは、小公子という種類でワイン用のぶどうなんですよ。さっきのワイナリーでは、同じ種類のぶどうから作ったワインが作られているんです。

「そうなんですか、じゃあきっとワインもおいしいんですね・・・」

「瀬戸さんって、横浜ですよね。最寄りの駅はどのあたりですか?

 近くまで送りますよ。」


「このジュース・・。ほんとにおいしいですね・・・」


え?


質問に全く答えずに、じーっとジュースの瓶を凝視している。

「えー、、、瀬戸さん?」

まだ酔っているんだろうか?

「早乙女さんがさっき買っていたワインも同じぶどうから作られているんですか?」

「えぇ。まあ、そうですよ。好きなワインなので違う種類のワインを2本づつ買ってます。」

「そうなんですか、美味しいんですか?」

「おいしいですよ。ワインにするとジュースとまた違った味わいになるんです。」

「いいですね、飲んでみたいです!」

「あはは、じゃあ今度機会があったらいい天気にでも持っていきますよ。」

「そうですか・・・」


「瀬戸さんの家の最寄の駅ってどの辺ですか?近くまで送りますよ。」

もう一度、聞いてみる。




返事がない。



「瀬戸さん?」

瀬戸さんは、うつむいている。

あれ、大丈夫かな?今度は車に酔ったかな?


すると急にこちらを見て真剣な顔で言ってきた。

「あの!、このブドウで作ったワイン飲んでみたいんです!」

えーっと、どこで?


「家ついて行っていいですか!?」


はぁ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る