僕と窟拓村めんだし大祭

雪子

あらすじ ※ネタバレも含みます。初見様はご注意ください

 北上路敏は北上一家殺人事件の被害者であった。だが、赤染と名乗る神によるゲームに打ち勝ち、生き返った。

 天涯孤独の身となった路敏は、窟拓村に住む遠い親戚の田中圭に引き取られ、村長の馬渡雅彦、民俗学者の小柳川民雄、巫女役を務める加々見麻衣、村唯一の宿泊施設の業務員岸彩香と知り合い、新生活を営み始める。そして、暇さえあれば、事件の真相を暴くため、日夜調査と体力づくりに励む。

 転機が訪れるのは、二十年に一度開催される、窟拓村めんだし大祭の前。路敏は都甲椿とその叔父である夏南汰と出会う。不思議な既視感を覚えつつも、人のいい夏南汰と一緒に露店巡りをする約束をする。

 前夜祭当日には、偶然出会った作家の若竹韻が、かつて村の神事を仕切っていた葵の一族について軽く説明。刑事の関口環と古賀瑞穂もやってきて、路敏の身を案じてくれた。

 午後から前夜祭が始まり、路敏は都甲たちと祭りを楽しむ。賑やかで穏やかな時間。だが、その柔らかい時間は、加々見麻衣が変死体となって発見されたことで壊れる。

 両親と同じように殺された加々見。

 路敏はショックを受けるが、まだ序の口。

 窟拓村はかつて、妊婦にわざと緑精大神から賜る『梅』を食べさせ、胎児を人から緑の眷属という化け物に変化させ、産ませていた。

 純粋な緑の眷属は人間に従わないが、人の胎から生まれたばかりの緑の眷属は、思考と体格が人間よりのため、人との交流が取れるようになっている。

 だが、骨しか栄養にならない緑の眷属は、極度の飢餓状態に陥ると、本性を露わにし、骨を摂取しようと暴走。その結果、目の前にいる人物がいかに大切な人でも、骨を抜き取り、食べてしまうのだ。

 緑の眷属として覚醒した田中も、加々見を骨抜きにして食べてしまった。すべては悲しい事故だったのだ。

 路敏は田中の願いを叶えるため、めんだし大祭の主幹である緑精大神への神饌を行う決意をする。

 

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