第300話カイルの願い
お姉さんに詰め寄られ私はカイル様の笑顔の秘密を白状した。
「つまり…カイル様はローズ様の前やローズ様の事を考えるとあの笑顔になるわけね!」
「はい、そうかと…屋敷ではほぼあんな笑顔ですし…もう砂糖かけたみたいに甘々です」
もっと酷いかもしれないと言うと
「ローズ様だけに優しいカイル様も素敵…」
話を聞いてお姉さん達が手を合わせてうっとりとしている。
「ハルジオンさん!今度来る時はローズ様も一緒に来るように薦めて!」
「は、はい!」
お姉さんたちの顔に思わず頷いてしまった。
「でもハルジオンさんはあんなカイル様のそばにいてよく平気な顔してるわね?」
「わ、私は…その…」
クリス様の方が…そんな事言えはしないけど…
ハルジオンはクリスを思うと頬が熱くなった。
「その顔は…ハルジオンさんもう既に好きな相手がいるのね!」
「なるほど~それならカイル様の笑顔にやられないのも納得だわ!」
「い、いえその前にあのお二人を見てるだけで…色々と…」
なんか敵わないって思ってしまうんだよね…
ハルジオンは苦笑した。
お姉様方に詰め寄られてる隙にカイル様は馬を持ってきて、しかも肉屋の注文しておいた物も取ってきてくれていた。
「ハルジオン、帰るよ」
カイル様の言葉にハルジオンは返事を返すとお姉様方に会釈をして屋敷へと帰っていく。
馬に乗りながらカイルはハルジオンに話しかけた。
「何を言われていたんだ?なんか困っていたようだけど大丈夫かな?」
心配そうに声かけてくれる。
「あっ…いえ!皆さんローズ様のお話を聞きたいと…いい方でしたよ!」
「そうか…そうだな。なんせローズが愛した町の人達だ…」
カイル様が嬉しそうに頷く。
「そうそう!皆さん是非とも今度はお二人で来て欲しいと言ってましたよ。ローズ様もですけどカイル様も町の人達に人気ですね!」
「そうなのかい?でも…そうなら嬉しいな」
「はい!是非とも今度はローズ様と町でデートでもしてください!」
「うん…俺もそうしたいんだけどね…」
カイル様は困った様な顔をしている。
「何か?ありましたか?」
心配になって聞くと
「ローズとは仕事で毎日一緒に国境周りを馬で走るからね…どうもそれで出かけた事になってるみたいなんだ」
「あれはお仕事ですよね!?」
「ローズにとってはデート兼お仕事みたいだ…」
苦笑する。
もう!ローズ様ったら!
ハルジオンは困ったご主人様にため息が出る。
「まぁそれも大切な時間で嫌いじゃないけどね」
そういうカイル様は幸せそうだった。
「でも…やっぱりお二人にはもっとちゃんとしたデートをしてもらいたいです!」
お姉様方に言われたわけではなくて恩人の二人には楽しい時間を過ごして欲しかった。
ハルジオンは少し考えると…
「カイル様…あのお店で頼んでいたのって、ローズ様のプレゼントですよね?」
私が聞くとカイル様は何故わかったのかと顔を赤くする。
「その顔を見ればわかりますよ…それはいつ受け取れるんですか?」
「特注品なので後三日程で出来ると言っていたよ」
「三日…ならちょうど三日後にローズ様をデートに誘いましょう!」
「し、しかし仕事が…」
「そこは町の人達に相談します!そうと決まればやる事が沢山あるぞー!」
私が馬の上だと忘れて立ち上がるとバランスを崩して落ちそうになる!
「危ない!」
すんでのところでカイル様に支えられてどうにか落ちるのは回避出来た。
「あ、ありがとうございます」
私は固まりながらカイル様にお礼を言うと
「ハルジオンはおっちょこちょいだな」
カイル様にが後ろで可笑しそうに笑っていた。
その様子をローズ様に見られていたとはその時は気が付かなかった…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます