第273話喧嘩
「えー!僕もちゃんと自分で見て治り具合いを確認したいのに…」
ぶーっと項垂れる。
「あっ私は大丈夫ですよ…お父さんも大丈夫だから」
ローズがチャートに笑いかけると
「本当に!?ありがとう!じゃあ早速!」
スミスはガシッとローズの足を掴むと
「おお…これは酷い怪我だね…でも、うん!凄いいい筋肉だ!君確か令嬢だよね?まるで兵士達のようなしなやかな筋肉がこの細い足にいいバランスでついてる…」
そういうと足首からどんどん上を触っていく…
「このふくらはぎ…理想的だな!これなら瞬発力が凄いだろうな…」
そう言ってローズのふくらはぎを愛おしいそうに撫でた…
「あ、あの…」
ローズは怪我と関係無い所を撫でられてくすぐったくて我慢していると…
「おい…それは本当に研究に関係あるんだろうな…」
チャートの握りしめる拳がギリギリと音を立てる。
すると…ガラッと医務室の扉が開き大樹の実を持ったカイルとロイ達が到着した。
そしてローズの足を撫でるスミスを見て固まると…
「「何をしている!」」
カイルとロイが慌ててスミスをローズから引き剥がした!
「スミスさん!私達が行くまで待つように言っておきましたよね!」
「えっ?そうでしたか?」
スミスがとぼけると
「誰だ!スミスを野放しにした奴は!しっかりと監視しておくように言っただろうが!」
ロイが怒鳴ると
「す、すみません…説明途中で飛び出してしまって…」
駆けつけた従者がはぁはぁ言いながら言い訳をすると
「これだから会わせたくなかったんだ!」
カイルがローズを隠すようにスミスの前に立つと
「ローズ、大丈夫か?変な所を触られていないか?」
心配そうに見つめる。
「だ、大丈夫です…怪我の様子を確認すると言ってましたし…でもふくらはぎが関係あるのかわかりませんが…」
ローズは苦笑して撫でられたふくらはぎを触ると
「関係ある訳ないだろ!ローズ!君は少し警戒が無さすぎるぞ!」
カイルの怒りの矛先がローズにも向く。
「で、ですがスミス先生は研究者なんですよね?実を食べる検証をしたいと言われたら私断れませんよ」
ローズがムッとしてカイルに言うと
「だからって限度があるだろ!おかしいと思ったら断っていいんだ!それに払い除ける力があるんだから一発お見舞いしてやれ!」
「何怒ってるんですか!?私の事ですよね!カイル様が怒る意味が分からないんですけど!」
思わずローズもムキになって来ると怒るカイルに言い返す。
「君が他の男に触られるのが我慢出来ないんだ!そんなの見たら冷静でいられるわけないだろ!」
「えっ…」
ローズがカイルの言葉に黙ってしまう。
「おいおい、喧嘩するなよ。カイルもローズも落ち着けって…カイルは言い過ぎだが気持ちはわかる。ローズは確かに油断しすぎだ。男に懲りてるはずだろ?」
ロイが二人の間に立つと
「ローズは強いくせにそういう所が鈍感だからなぁ…俺達はまたローズが傷ついて欲しくないだけなんだ…カイルの気持ちもわかってやってくれ」
ロイがローズに笑いかけると
「はい…すみませんでした…次はもう少し…注意します」
心配をかけたことは確かなのでローズは素直にロイ王子に謝った…そして後ろにいるカイルと目が合うと納得出来ずにぷいっと横を向いた。
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