第164話怒り

ローズとバルトはもう一度頭を下げて控え室へと戻ってきた。


すると令嬢達がわぁ!と押し寄せてくる。


「ローズさん!いえ!ローズ様とても素敵でしたわ!その衣装もとても素敵…」


「ローズ様!今度一緒にお茶でもしませんか?もし良ければ…男性の格好でもいいですから…」


「ず、ずるいわ!ローズ様!私ともお願いします!それと…良かったら今度兵士の服も来て下さらないかしら」


きゃ!きゃ!と騒ぎ出す令嬢に…


「ほら、皆さんローズはお披露目を終えて疲れてるのよ。お願いはまた今度にしてください」


「はーい…ローズ様お疲れ様でした」


「残念ですがキャシー様の言う通りですね。ローズ様また今度…」


「ローズ様!絶対今度!お茶を!」


「は、はい…皆さんありがとうございます」


ローズがクスッと微笑むと…


「「「きゃぁぁ!」」」


令嬢達が黄色い声をあげる!


「どうしましょう…私なんだか開けては行けない扉を開けてしまった気がします…」


「わ、わたくしも!ちょっと皆様で語り合いませんか?」


「お供します!」


令嬢達が手を握り合っている…その様子に


「キャシー…みんな大丈夫かな?なんか変だけど…」


心配そうに楽しそうな令嬢達を見つめる。


「大丈夫よ、気持ちはわかるわ」


キャシーがふふふと笑っていると…


「あら、ローズさんお疲れ様…そんなボロボロの衣装でよく恥ずかしくありませんでしたね」


ジュリアが不機嫌そうに声をかけると


「これはクレアさんが作ってくれたものです…そんな言い方はやめてください」


「ク、クレアさんが!?ふ、ふん!でも破れてみすぼらしいわ、まぁ田舎の領地のローズ様にはピッタリってことかしら」


あははと笑うと


「ええ…誰かが破いたみたいです。この事はきっちりと報告させていただきます」


ローズはジュリアをじっと見つめると


「な、なんですの?まさか私がやったとでも!」


「誰がやったにしろ、こんな行為私は許さない」


ローズはジュリアを見つめ続けた…


「ふん…」


ジュリアは目をそらすと


「どうでもいいですが私ではありませんから、ローズさんが衣装部屋に行った時、私は控え室にいましたから!見てる方も沢山いると思いますよ」


ふふんと笑って答えると…


「何故私が衣装部屋に行った時だとおわかりに?」


ローズが淡々ときく。


「えっ…だ、だってその時騒いでたでしょ!」


「いいえ、ローズは衣装の支度でずっと衣装部屋にこもっていました…衣装が破れていたのを知ってるのは私とメイド…それに破いた本人だけかと…」


キャシーが軽蔑するような眼差しでジュリアを見つめる。


「だ、だとしても私はしてません!他の方に聞いてみて下さい!」


ジュリアは不愉快だとばかりにくるっと向きを変えるとカツカツと靴音を立てて部屋を出ていった…


「なにあれ!犯人だと言っているようなものじゃない!」


「どうしましょう…周りから取り囲んで追い詰めますか?」


キャシーとキャシーのメイドがジュリアの態度に憤怒していると…


「大丈夫…キャシー、メイドさんも私の為に怒ってくれてありがとう」


ローズは二人に笑いかけると


「許さない…けどね」


ジュリアを見つめて静かに呟いた…

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