第125話異変

バタンッ!とカイルが扉を閉めて出ていくと…


「な、なんで思い通りにならないの!」


ジュリアは怒りのあまりのお菓子を掴むと壁へと投げつけた!


「あなた!さっき言った指示を無視したわね!」


ジュリアはこっそりと耳打ちした従者を睨みつけると


「い、いえ!私はちゃんと指示通り薬をお茶に…」


「ならカイル様はなんでなんともないのよ!」


「も、申し訳ございません!」


従者が床に頭をつけて謝ると


「無能なお前らのせいで計画が台無しだわ!」


熱いお茶を従者の頭にこぼすと


「あ、熱い!」


従者が飛び上がって顔を抑える。


「せっかくカイル様を虜にしてロイ王子に近づこうと思ってたのに…」


悔しそうに扇を握りしめる。


「もうあなたはいいわ…誰かそいつを連れていきなさい」


「ま、待ってください!ジュリア様!私はちゃんと…」


ジュリアはシッシッと手を払い火傷した顔を抑える従者に冷たい視線をおくる。


すると他の従者達が男を抱えて何処かに連れて行った。


「もう!せっかく手に入れた媚薬だったのに…全然駄目ね。これは使えないみたいだから捨てといて」


ジュリアはお茶に混ぜた媚薬を処分するように指示をだした。



カイルはジュリアの部屋を出ると帰り道にあるローズの部屋へと向かう。


ジュリア嬢の部屋を出てからなんだか足取りが重い…体が熱くとにかくローズに早く会いたかった…


トン…トン…


やっと部屋につくと扉を叩く…


「はーい!」


中から聞きたかった声が聞こえ思わず微笑むと


「ローズ…俺だ…カイルだ…」


「カイル様?」


ローズは扉を開くと…


ドサッ!


開けた途端にカイルがローズに覆いかぶさってきた!


「きゃあ!」


ローズはカイルの重さに耐えきれずに倒れ込むと…


「いったぁ~カイル様!重いです!」


床に倒れ込んでカイルを押し返そうとするがカイルの様子がなんかおかしい…


「カイル様?大丈夫ですか?」


ローズがグッとカイルの胸をもう一度押す。


「あれ?カイル様、体が熱くないですか?」


「う…」


カイルはローズに触れられた場所がなんだか熱くてビクンと反応する。


ローズから離れようと立ち上がろうとするが腕に力が入らない。


「カイル様?」


ローズが熱を測ろうとカイルの首に手を当てる…


「熱い…」


「あっ…」


カイルが色っぽい声を出した…


「カイル様熱がありますよ!大変…」


慌てるローズがカイルの下で抜け出そうとモゾモゾと動き出す…ローズが触れる所から何とも言えない感情がわいてくる…カイルは堪らずにローズを止めようと腕を塞いだ。


「な、なに?」


両手を塞がれてローズはカイルを見上げるとカイルが熱のこもった瞳でローズを見下ろしている。


「ローズ…」


カイルはボーっとした気分のままローズに近づいていった…

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