第110話理由

手燭を持ちながら部屋へと戻っていると…


「レイン様!探しましたよ、どちらに行っていたんですか!」


従者と衛兵が早足で近づいてきた。

色々な場所を探し回っていたのかはぁはぁと息を吐く。


「すまない、小腹が空いてね」


「言って下さればご用意致しますから…」


従者がため息をつく。


「嫌だよあんないつ作ったのかわからない飯なんて…たまにはゆっくり出来たてを食べたいんだよ」


「それは…もし陛下に何かあればいけませんし…毒味は必要ですから」


「だからこうやって抜け出して食べて来たんだ」


「何を召し上がったんですか?」


「ん?サンドイッチをね」


「えっ!陛下がお作りに?」


「野菜タップリのサンドイッチだ」


「陛下が野菜を?」


従者が信じられずにいると…


「明日からは野菜の上にはマヨネーズをタップリかけるように言ってくれ」


「マヨネーズをですか?」


従者が不審な顔をすると…


「あっいや…適度な量で頼む」


「わかりました…」


従者が部屋まで送ると首を傾げながら戻って行った…



ローズ達もその頃ちょうど部屋まで戻って来ると…


「ふぁ~」


ローズが大きな口で欠伸をする。


「バルト~寝よう」


もそもそと布団に潜り込むとバルトがふと思い出し…


「そういやあの男は誰なんだ?」


ローズに聞くと


「えっ?知らない、この王宮で働いてる人じゃない?」


「そうだな…コソコソ来てたしまぁもう会うこともないだろう」


「また夜に行けば会えるかもね…」


ローズは気にせずに目を閉じるとバルトを抱きしめて眠りについた。




「おはようございます!」


カーテンを開く音と共に明るい日差しがローズを襲う。


「うぅ…眩しい…」


ローズは思わず近くにあった極上の布で顔をおおった…


「おい!」


極上の布が文句を言う。


「あっ…バルトごめん…」


謝りながらもそのまま抱き上げ起き上がると…


「ローズ様お体の具合はどうですか?」


クレアさんが布団を整えながら聞いてくる。


「もう大丈夫です!ちょっと腕がだるいくらいで」


笑顔で答えると


「では今夜も腕を念入りにマッサージ致しましょうね」


クレアさんにそう言われて笑顔のまま固まってしまった。



着替えもすませると


「あっ今日の朝食は軽めで大丈夫です」


何気なくローズが言うと急かせかと動いていたクレアさんが立ち止まる。


「ローズ様…やはり調子がよくないんですね!今すぐ医師を呼んでまいります!」


クレアさんが部屋を飛び出そうとするのを慌てて抱きついて止める!


「な、なんでですか?大丈夫です!ほらこの通り元気ですよ!」


「いえ!ローズ様が朝食を少なめなんて初めてです!いつもは普通のご令嬢の倍は食べるのに!」


「えっ…他のご令嬢ってあの半分なんですか!?嘘…よくお昼まで持つなぁ…」


変な所で感心していると


「離して下さい!ローズ様!」


クレアさんがジリジリと前に進むと


「おい、本当の事話した方がいいんじゃないか?」


バルトは我関せずと離れたところからローズに語りかける。


「本当の事?ローズ様それはどういうことでしょうか?」


クレアさんは医務室に行くのをとどまるとローズをガッチリと掴み椅子に座らせた。

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